【SMAジャパン】再エネ由来水素プラントに商機/日本でも拡大見込む | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【SMAジャパン】再エネ由来水素プラントに商機/日本でも拡大見込む

独SMAでは水素部門を担う子会社SMAアルテンソを設立し、再生可能エネルギー由来の水素プラントのプロジェクトに参加している。写真はニュージーランドのプラントで、水素を生産する電力を地熱発電でまかなっている


 電流の交流・直流を変換するコンバーターやインバーターを製造・販売する独SMAは、水素プラントなど水素関連施設向け事業を拡大し、2024年秋に日本でも本格始動させた。日本法人「SMAジャパン」の冨永敏夫社長は「当面の目安として、30年度の日本法人売り上げのうち1割を占めるまで事業を拡大できれば順調と言える。以降も拡大を続け、太陽光や蓄電所向け製品を上回るポテンシャルがある」と展望を示し、建設企業とも連携を模索する。

 日本法人の設立は11年。当初はFIT(固定価格買取制度)による優遇措置を受ける小規模な太陽光発電向けの製品の展開が中心だった。20年前後から、蓄電所向けなど比較的大きな電力に対応する製品に展開を広げた。

 これら製品の技術を、水を電気分解して水素を発生させる水電解槽向け製品に応用する。既に欧州では水素プラントや水素ステーション、工場併設の水素生産設備で実績がある。北村信治営業本部営業技術部部長は「太陽光や蓄電所向け製品と水電解槽向け製品は、部品の約8割を共用可能とした。技術に共通する要素が多く、設計や量産の面で強みがある」と説明した。

導入事例の一つ、スペインの水素プラント。太陽光発電により年間3000トンの水素を製造し、肥料用アンモニア向けに供給する。燃料だけでなく工業用の水素でも、製造段階での二酸化炭素排出量が少ないグリーン水素のニーズを開拓する

 政府は23年6月改定の「水素基本戦略」に、30年までに水電解装置の導入を15ギガワット程度とする目標を盛り込むなど、水素の生産・利用を促している。しかし現状では、国内で生産・利用される水素の大半が「グレー水素」(石油などから生産した水素)であり、脱炭素の面で問題がある。再生可能エネルギーで生産する「グリーン水素」の普及が求められており、同社もこちらに注力する。

 五味淳二営業本部本部長代理は「グリーン水素の用途は自動車、船舶、航空機や火力発電所などの燃料が想定できる。現在はグリーン水素生産のパッケージ化や事業性確保に向け、自動車や重工業のメーカーと協力を進めている。日本は水素普及に関する制度などの具体化がこれからという状況だが、先んじて水素に関心を持つ建設企業とも協力したい」と力を込めた。

 

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