清水建設は11月30日、長野県東御市の羽毛山工業団地で、約30億円を投じて2メガワットクラスの木質バイオマス発電所の建設に着手した。同日、建設地で起工式が開かれ、花岡利夫東御市長や林業関係者、県議会、市議会議員など関係者約100人が参列し、工事の安全を祈願した。発注者は、バイオマス発電事業を行う清水建設の100%出資の事業会社である信州ウッドパワー(長野県東御市、陰山恭男社長)で、設計施工は清水建設が担当。竣工は2020年5月末の予定で、以後20年間にわたり、FIT(固定価格買取制度)発電事業を展開する。
木質バイオマス発電施設は、信州ウッドパワーの子会社の信州ウッドチップ(長野県東御市、陰山恭男社長)が提供するカラマツ、アカマツ、スギなどの切削チップを燃料とし、ボイラー・蒸気タービン方式により発電する。出力は1990kW(2メガワットクラス)を予定している。
施設計画に当たっては、チップ貯蔵エリアから発電プラントへの燃料チップの投入作業を自動化し、従来のバイオマス発電所特有の深夜・休日の燃料供給作業をなくする。
バイオマス発電に使用する燃料の切削チップは、1年当たり3万tに及ぶが、建設地の東信地域の森林量を勘案すると、間伐材などの未利用材やマツクイムシ被害材を利用するだけで十分補うことができる。間伐材と被害材、林地残材の処分は森林の保全育成につながるとともに、地元に1年当たり約1億から1億5000万円のチップ材の対価をもたらし、新たな木材需要を創出する。
また、2メガワットクラスのバイオマス発電は一般家庭約4500戸分の電力を補うことができるとともに、10人程度の雇用も創出する。東信地域の地方創生、林業再生、地消地産を促し、事業者と地元の間にウィン・ウィンの関係を築く。発電所の構造はS・木造で、建築面積は935㎡。