【林業振興・地方創生】信州ウッドパワー 木質バイオマス発電所が長野県東御市で稼働開始 | 建設通信新聞Digital

4月16日 火曜日

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【林業振興・地方創生】信州ウッドパワー 木質バイオマス発電所が長野県東御市で稼働開始

 清水建設とトヨタ ユー・グループ(長野市、宇都宮進一代表)の合弁事業会社である「信州ウッドパワー」(長野県東御市、陰山恭男社長)が約30億円を投じて東御市の羽毛山工業団地に建設した木質バイオマス発電所が15日から稼働を始めた。20年間にわたるFIT(固定価格買取制度)売電事業をスタートさせた。

 地球温暖化防止への貢献とともに建設地である東信地域(長野県東部)の林業振興、地方創生を促すなど、事業者と地元との間にウィン・ウィンの関係を築く事業となる。

 清水建設は今後も木質バイオマス発電の適地調査を継続実施する。2メガワットクラスの発電所をフルパッケージ化して第2、第3の発電事業の立ち上げを目指していく方針だ。

 稼働を始めたバイオマス発電所の出力は1990kW。信州ウッドパワーの子会社である「信州ウッドチップ」(陰山恭男社長)が地域の森林から調達する原木を原材料とする切削チップを燃料に生み出した電力を中部電力に売電する。集材圏は森林資源が豊富なため、発電所をフル稼働させることができるという。

 年間発電量は約1350万kW時。売上高は5億4000万円程度を見込んでいる。
 燃料となる原木の年間使用料は約3万t。信州ウッドチップに原木を提供する地元の森林施業者、森林組合、山林所有者などからの原木買入額は年間1億5000万円余りに達する見込み。間伐材など未利用材に加えて、マツクイムシ被害材をチップ化して燃焼できることから、現地で問題化している膨大なマツクイムシ被害材の処理や森林の保全育成にも大きく貢献する。発電所の運用やチップ製造のために12人の新規雇用も生み出す。

 清水建設が三菱日立パワーシステムズインダストリーと共同で開発した発電プラントの運用を遠隔地から支援するプラント運用支援システムや、JEMSと共同開発した燃料となる原木の調達ルートを的確に認証できるGPS(全地球測位システム)トレーサビリティーシステムの導入など、地域密着型バイオマス発電の普及や林業のICT化を促す先進的な取り組みも展開している。労働負荷が大きかったプラントへの燃料チップ投入作業も自動化している。

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