不動テトラと高橋秋和建設(秋田県由利本荘市、高橋敦社長)は、写真を合成して3次元CGを作成する「フォトグラメトリー」による水中構造物点検手法で、透明度約0.2mの濁水中での3次元点群モデルの生成に成功した。潜水士による目視点検が困難な濁水中にある構造物の点検作業の効率化や発見の確実性、安全性の向上が期待できる。
今回の試行はサイスガジェット(東京都大田区、上田至高代表取締役)の協力を得て実施した。ため池に浮かべたボートからステレオカメラを取水塔(水深1.7m、塔直径3m)に沿って人力で上下させながら周囲を撮影した写真を基に、フォトグラメトリーの手法で3次元点群モデルを生成し、可視化した。
生成した3次元点群モデルは水中から水上まで取水塔全体を俯瞰(ふかん)できるとともに、その外観・質感を再現し、取水口蓋(こうがい)や配管、その留め具など微細な形状の把握、標尺の数字などを連続的に把握できた。
また、今回はUAV(無人航空機)写真測量とのデータ統合を行い、水中部から水上部まで配管や標尺のメモリーといった微細部分を把握できるシームレスな3次元点群モデルを作成した。水中から水上まで連続する変状や全体像の把握がしやすくなり、維持管理の効率化が見込める。
一般的に濁水中のインフラ点検は濁りの影響を受けにくいマルチビームソナーなど音響による計測が広く採用されている。しかし、音響による計測では対象物の色合いやひび割れなど微細な形状が把握できない。また、水中から水上にかけての連続的な点検では、水中と水上の計測方法が異なると同一の詳細度や質感で変状をシームレスに確認できないといった課題があった。