【佐藤工業】新たなブランドで手応え 都市開発部が手掛ける再開発とアリーナ | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【佐藤工業】新たなブランドで手応え 都市開発部が手掛ける再開発とアリーナ

河田康博都市開発部長

 佐藤工業が都市開発部を立ち上げ1年が経過した。重点ターゲットに置くのは地方都市にも動きが出始めた再開発事業と、全国的に建設計画が相次ぐ民間主導のアリーナプロジェクトの2つ。現在は再開発で4件、アリーナで2件を施工しており、幸先の良いスタートを切った。河田康博部長は「思い描いたカタチになっている」と手応えを口にする。
 法定再開発事業の実績は施工中案件を含めると、ちょうど50件の節目を迎えた。1979年に大阪府高槻市で事業化した国鉄高槻駅前地区を皮切りに、着実に実績を積んできた。近年は受注額ベースで過去最大規模となる延べ6万5000㎡超の案件を獲得するなど業績への貢献度合いも増している。
 「われわれが川上の営業部隊となり、支店と連携しながら地道に開拓している」。都市開発部では現在、将来の事業化を見据え、全国で十数件をターゲットに置いている。「少子高齢化や人口減少により、自治体では税収の確保が難しくなる中、PPPやコンセッションなどの事業手法が広がりを見せている。そうした変化を1つの機会ととらえ、どう事業化に向けた具体提案ができるか。ソリューション力がより問われている」と強調する。

アドバンテージになっている「ゼビオアリーナ仙台」

 同社が事業化から設計、施工まで一貫して関わった12年完成のゼビオアリーナ仙台は、仙台市に本拠地を置くプロバスケットボールチーム『仙台89ERS』のホームアリーナとして計画された初の民間運営型アリーナとしても注目されている。政府が主導するスポーツを核とした街づくり「スマート・ベニュー」の先導モデルとも称される。
 河田部長が「アリーナプロジェクトでは、このゼビオアリーナ仙台の実績がアドバンテージになっている」と強調するように、同社は15年完成の函館アリーナ(北海道函館市)、18年完成予定の由利本荘防災公園アリーナ(秋田県由利本荘市)と立て続けにプロジェクトを手掛けており、最近では、ぴあが20年の完成を目指して横浜市に建設する(仮称)MMアリーナ計画の設計施工を担うことも決まった。

函館市の新たなランドマークとなった 複合施設「シエスタハコダテ」

 地方都市ではコンパクトシティーの流れを背景に、中心市街地にまとまった敷地をいかに確保できるかが事業化への課題になる一方で、全国のアリーナプロジェクトでは企業パートナーとの密接な連携も問われる。河田部長は「再開発もアリーナも事業が成立するまでのプロセス、関係者の意向を取りまとめる集約力が何よりも大事。これまで以上に民間のアイデアや資金を求める流れが強まってくる」と先を見据える。
 国内建築マーケットは20年の東京五輪を境に需要低迷を懸念する見方が広がるが、全国の再開発やアリーナ建設の流れは「少子高齢化が前提にあるため、五輪需要とはリンクしない」と読む。このほか全国に点在する体育館の老朽化も今後の重視すべきターゲットの1つ。「建て替え後の利用状況をどうするか。自治体の共通する課題であるだけに“稼げる体育館”という事業価値の部分が重要になってくる」。マンション建て替えも同様だ。「これは再開発の権利変換と同じスキームであり、これまでの経験で得られたノウハウを存分に生かせる」と焦点を絞り込む。
 厳密な受注目標はあえて設けていない。「あくまでもわたし個人の目標として、再開発、アリーナとも年1件のペースで着実に成果を残していきたい」。全国的に計画が浮上しているアリーナプロジェクトではこの間の実績が評価され、相次ぎ事業への参加を決めている。河田部長は「トンネルの佐藤に次ぐ新たなブランドの構築がわたしの役割でもある」と力を込める。

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