【BIM/CIM未来図】福山コンサルタント(下) 推進チーム軸に成功体験を蓄積/社会課題解決のツールに | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【BIM/CIM未来図】福山コンサルタント(下) 推進チーム軸に成功体験を蓄積/社会課題解決のツールに

 福山コンサルタントのBIM/CIM推進チームが発足して2年半が経過した。チームリーダーを務めるインフラマネジメント事業部東京第2グループの栗山尚人係長は「メンバーのモチベーションを引き上げることが私自身の役割でもある」と語る。

 国土交通省のBIM/CIM原則適用が動き出し、設計業務ではいずれ3次元設計の流れが進展してくる。「建設コンサルタントにとってBIM/CIMの対応は欠くことのできない重要なスキルであり、個としても組織としても知識レベルを引き上げていかなければいけない。われわれチームがコアとなり、着実に成功体験を積み上げていく」と思いを込める。

 2024年3月に設立75周年を迎えた同社は100年企業を目指す上で、企業価値の向上や社会貢献を実現するツールとしてBIM/CIMを位置付けている。インフラマネジメント事業部長の門司雅道取締役は「これからもBIM/CIMを活用しながら社会課題の解決に挑戦し、ステークホルダーの期待を越える成果を導く」と強調する。

 同社は、BIM/CIMの重要な役割として「社会解題の解決」「地域活性化への貢献」「独創的な事業展開」「視覚的支援と働き方改革の推進」の四つを掲げる。中でも「3次元データを活用したシミュレーションやデータ分析による高精度な計画立案は、安全・安心のインフラ整備を目指す当社の使命と一致している」と説明する。

 特にBIM/CIM活用による見える化効果は「プロジェクト関係者間の情報共有を円滑化し、意志決定の迅速化やプロジェクトの透明性向上にも期待できる」と位置付けている。こうした考え方は、BIM/CIM推進チームの“挑戦”という形で具現化されつつある。

 社内ではオートデスクのBIM/CIMツールを自由に利用できるAECコレクションを従量課金制で購入している。強みの道路設計ではオートデスク製品と相性の良いビジュアライゼーションソフト『Twinmotion』をフル活用し、安全対策走行シミュレーションを作成した事例も出てきた。ゲームエンジン系の専用ソフトを活用せず、あえてオートデスク製品だけでリアルな走行空間を構築した。

走行シミュレーション


 栗山氏は「BIM/CIMデータを発注者に対してどう見せていくか。それが有効な合意形成の手段になる。ビジュアライゼーションについては他の業務でも積極的に活用していきたい。3次元都市モデルや点群データなどを使ったパースとしての活用も準備している」と説明する。

 BIM/CIMは設計から施工、維持管理へとデータをつなぐことが理念にあり、設計業務単体では導入効果が限定的とも言われているが、調査や計画立案の段階では有効な判断材料としてBIM/CIMデータを活用できる。重要なのは「技術者としてモデルを使って何ができるかを考えることであり、それによって設計時に付与すべき情報やモデルの在り方についても最適解を導くことができる」と焦点を絞り込む。

 東京第1グループに所属するチームメンバーの今里鈴花さんは「メンバー全員に小まめに声を掛けてくれる」という栗山氏を通じて「私自身のBIM/CIMへの向き合い方が大きく変わった」と受け止めている。3年前に「このままでは乗り遅れる」と立ち上がった栗山氏の思いが、BIM/CIM推進チーム発足のきっかけとなり、いまではその前向きな目線をメンバーがしっかりと受け継いでいる。チームの意識改革が同社のBIM/CIM活用の流れを一気に速めようとしている。

(左から)紫さん、渡邉さん、今里さん、栗山氏



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