【八ッ場ダム】プロが最先端技術や創意工夫を目の当たりに! 東京土木施工管理技士会が見学会 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【八ッ場ダム】プロが最先端技術や創意工夫を目の当たりに! 東京土木施工管理技士会が見学会

左岸下流から急ピッチで進む堤体コンクリート打設を見学

 東京土木施工管理技士会(伊藤寛治会長)は5日、国土交通省関東地方整備局が群馬県長野原町で進めている八ッ場ダム本体建設工事で会員向けの現場見学会を開いた。現場では高速施工技術「巡航RCD工法」による堤体コンクリート打設が本格化しており、参加者は現場で採用されている最先端技術や創意工夫などについて熱心に質問していた。
 見学会は土木技術者の育成を目的に毎年2、3回のペースで開いており、2017年度は2回目となる。ダムの現場見学は10年以来7年ぶりで、会員企業の30人と事務局など計約40人が参加した。施工は清水建設・鉄建建設・IHIインフラシステムJVが担当し、19年度の完成を目指している。
 首都圏で唯一建設中のダム工事に対する関心は高く、57回目となる今回は「キャンセル待ちが出るほど応募があった」(事務局)と人気を集めた。開催に当たり、同会事業運営委員会の草薙史朗現場視察グループ長は「百聞は一見に如かずということで、現場では疑問点を遠慮なく質問して、知識を蓄えていただきたい」とあいさつした。

名物のダムカレー

 見学会は整備局の「やんばツアーズ」を活用して実施した。一行は、道の駅「八ッ場ふるさと館」で昼食をとり、名物の八ッ場ダムカレーを味わった後、「なるほど! やんば資料館」で事業概要や事業化の歴史について説明を受け、現場に移動した。
 八ッ場ダムは、利根川水系吾妻川中流に設置する重力式コンクリートダムで、1947年のカスリーン台風による被害を契機に作成した利根川改修改訂計画の一環として52年に調査を開始した。地元の反対運動や政権交代による事業中止表明など紆余曲折を経て、14年8月に本体建設工事を契約した。15年1月に本体左岸で発破による掘削工事を開始し、同2月に本体建設工事の起工式が開かれた。
 堤高は116m、堤頂長は290.8m、堤体積は約100万m3、総貯水容量は1億0750万m3、流域面積は711.4km2。利根川水系ダムの中で、流域面積は1位、総貯水容量は3位の規模を誇る。8月末時点で、堤体積約100万m3のうち、約37万m3のコンクリート打設が完了し、堤体の高さは40mに達している。
 巡航RCD工法は、内部コンクリートを長大スパンで先行打設後、外部コンクリートを追随して打設することで高速施工を可能にする。打設速度の速い内部コンクリートを先行して全面的に連続打設するため、内部コンクリートの打設に当たって施工機械の能力を十分に活用することができる。同工法の採用は全国で5例目となり、関東地方で全面活用するのは初めて。

資料館で説明を受ける参加者

 見学会に同行した牧野有洋JV副所長(清水建設)は「(巡航RCD工法は)雨に弱いので、天気には気を遣う。高所作業や大型重機による施工には細心の注意を払って安全管理を徹底している」と説明する。
 参加者は、右岸天端と左岸下流から、急ピッチで進むコンクリートの打設作業を見学した。参加した男性は「ダムの現場を見るのは初めてで、何もかもスケールが大きくて驚いている」と目を丸くした。CIM関連の仕事している女性は「初めてダムの現場に来たが、規模が全然違う。見たことがない機械も多い」と現場のスケールに圧倒されていた。

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