◇体感楽しむもデジタル社会の到来まだ遠く
A 大阪・関西万博が開幕してまもなく3週間となる。プライベートで訪れた記者もいるようだが。
B ゼネコンも出展している「未来の都市」は体験できるコーナーも多く、盛りだくさんで子どもも楽しめた。小さな国が集まって出展しているコモンズ館も回るだけで国際交流をした気分になれる。偶然、プロペラの一つが破損した時の「空飛ぶクルマ」の展示飛行を見ていたが、観客との距離が取られていたし、墜落しそうな雰囲気もなく安定していた。むしろ、プロペラが一つ破損しても安定飛行できるという安全性を証明できたのではないか。幸運にも日本館の予約も取れたけれど、見るだけの展示ばかりで、インパクトは薄かった。やはり、体験・体感できたり、リアルを感じられる方が印象深い。
C パビリオンや体験は素晴らしいものだったが、高齢者や障害のある人への配慮が行き届いているとは感じなかったな。まず、チケットの登録や抽選をオンラインで行わなければならず、スマートフォンを使い慣れてないと参加すらできない。さらに、夢洲駅のプラットホームから改札階へ上がるエレベーターはたったの1台。社会的に不利な立場にある人が参加できないのに、そのイベントで“未来社会”を掲げるのは首をかしげざるを得ない。
B 事前のパビリオン予約の有無と、天候が万博の印象を大きく左右するだろう。でもチケットの件は全く同感だ。並ばないと言いながら結局、会場内は大行列だ。社会にデジタル技術が実装されたと言うのは時期尚早だということがはっきり分かったよ。
◇予断許さず早めの対策で熱中症ゼロに期待
A ところで、桜の名所として名高い青森県の弘前城で先週末に桜が満開を迎えた。桜前線も本州を越え、いよいよ北海道を残すのみとなったが、早くも懸念され始めたのが熱中症だ。
D 地域にもよるが、日本の5-6月は「新緑の候」と言われ、1年で最も気候が穏やかで過ごしやすい時期とされてきたが、今年は4月の段階で既に全国各地で真夏日が続出しており、観測史上最高を記録した昨夏に続いて猛暑が予想されている。
E 熱中症は真夏のイメージが強いが、日本気象協会は季節の変わり目で寒暖差が激しく、体が暑さに慣れていない5月の発症にも注意を呼び掛けている。
D ある専門工事業の団体長は、屋外作業である建設業にとって気候の良いゴールデンウイーク(GW)期間は最も生産性が上がる時期として、建設業でのGWの廃止と、その代替となる作業従事者の主体的な休日取得を訴えていたが、急激な気候変動の影響で、その5月すら予断を許さない状況になってきた。
A いま熱中症対策はどういうものがあるのだろう。
D 一般的となったファン付作業服のほか、首装着エアコン、ドライアイス式ベストなども出ているし、各衣料メーカーで開発に力を入れている。飲料にも多くの対応商品があり、市販飲料をアイススラリー化する冷蔵庫のレンタルも始まる。体調管理プログラムを導入しているゼネコンもある。
C エアコンを常時稼働させた休憩室や熱中症対策テントなど設備・施設も充実している。
E 現場での熱中症発症は当事者の健康はもちろん、現場の運営、ひいては会社の社会的信用にも関わってくるだけに、元請け各社もその対策に万全を期している。個々人までの体調管理は非常に困難だが、気象変動を見据えた早めの対策で建設業からの発症ゼロを期待したい。