【記者座談会】日建連意見交換会が終了/拡大するDC整備需要 | 建設通信新聞Digital

6月20日 金曜日

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【記者座談会】日建連意見交換会が終了/拡大するDC整備需要

◇関連産業の上限規制対応による影響注視

意見交換では活発な議論が交わされた。写真は中部地区


A 日本建設業連合会と国土交通省各地方整備局などとの共催による「2025年度公共工事の諸課題に関する意見交換会」が16日の中部地区で終了した。印象に残ったことは。

B 日建連が強く訴えたのは公共事業予算の確保だった。国の公共事業関係費(当初)はここ10年間ほぼ横ばいの約6兆円で推移しているものの、近年の労務費や資材価格の上昇などにより、実質的に事業量・発注件数が減少していると指摘した。国土強靱化施策を含め、価格上昇分を反映した十分な事業量の安定的・持続的な確保を求めた。

C 意見交換の最中に国土強靱化実施中期計画が閣議決定されたのもタイムリーだったね。それに加えて業界で新たに浮き彫りになってきた課題に対する問題提起もあった。代表事例は生コンクリートやクレーンといった関連産業での時間外労働の上限規制対応が建設現場に与える影響だ。移動時間を考慮した現場稼働の短縮や工場の土日閉所に伴う出荷制約などにより、全体の工程や費用に影響が出てきている。

A ゼネコンの自社社員の上限規制対応は事前の備えや日建連などによる発注者への働き掛けも奏功して、大きな混乱なくクリアできたようだが、やはり現場レベルには確実に影響が及んでいたわけだね。対策はあるのかな。

C 現場条件の不一致と同じように扱い、個別の設計変更での対応に解決の糸口を見いだそうとしている。ただ、影響が常態化するようであれば、歩掛かりや経費率の見直しが必要になってくると思う。

B こうした現場状況の変化は客観的に示せるデータを増やし、国交省との意見交換の場などを通じて伝えていくべきで、これからもさまざまな角度からの検討と議論が必要だ。

◇地域格差解消し早急な政策的支援を

A データセンター(DC)の建設需要が高まってきていると最近よく聞くが。

D さいたま市では大手不動産会社レンドリースと機関投資家が出資する特定目的会社が2棟目の大型施設を建設する予定だ。東京都日野市でも特定目的会社による延べ3万㎡超の施設新築が計画されている。千葉ニュータウンにあるDC内ではインターネットイニシアティブによる3期棟が起工した。

A DCの需要が拡大している理由は何だろうか。

E 経済産業省の「デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合」では、社会経済のデジタル化に伴い、デジタルインフラは「社会インフラのインフラ」として社会経済の持続的な発展を確保するために必要不可欠だとしている。さらに人口減少・少子高齢化などの社会課題解決に向け、地域DX(デジタルトランスフォーメーション)実現の重要性が増していることも背景にある。

D 大林組はデータセンターの開発と運用を目的とした新会社を設立し、約1000億円を投資して、28年度に第1弾となるDCを開設する予定だ。同様に建設・不動産業界ではDCの整備に新規で投資する案件が目立ってきている。

A ただ現状は、東京圏・大阪圏に集中している傾向がある。デジタルインフラの地域格差が広がりそうだけど、どうすればいいのかな。

E 経産省の有識者会合では、データセンターの用途や必要な規模に応じた分散立地も議論の対象となっている。AI(人工知能)の利活用と高度なサービスを地域でも大都市圏と遜色なく実現し、より円滑な社会実装に移すための早急な政策的支援をしていくべきことだと提起されている。

 

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