価格、耐久、施工性でゴムに優位
補修材メーカーのエルファイバーテック(横浜市、衛藤武志代表取締役)は、四フッ化エチレン樹脂コーティングガラス繊維膜のシート「FRC(繊維強化コンクリート)シート膜防水」を開発した。主に橋梁や中央分離帯の止水材として販売する。構造物同士の衝突を防ぐ隙間である遊間を埋める従来のゴム製の止水材に比べ「耐久性や価格面、施工性でも優れている」と衛藤氏が強調するように、今秋から公共向けの高架橋で採用されるなど、三拍子そろった予防保全の補修材として早くも注目を集めている。
漏水防止を担うゴム性の止水材は、温度変化に伴う硬化や膨張などで一般的に耐用年数は15年前後とされる。FRCシート膜防水は、耐熱性や耐寒性、耐候性を備えた素材のため、「約40年は取り換える必要がない」と長期間にわたって高い止水効果を発揮するという。価格面でも「1m当たり6万円程度のゴム製と比べて半値以下で提供できる」と経済的な優位性をアピールする。
一般的な止水対策は、止水ゴムを亜鉛メッキプレートで押し付けてステンレスアンカーで遊間部に固定するが、FRCシート膜防水は構造物にスリットを施し、その溝にエポキシ系の接着剤を流して、FRCシート膜防水をはめ込むだけで施工が済むため、作業効率にも大きく貢献する。
さらに「面的に構造物に接触するため、ステンレスアンカーで固定するよりもFRCシート膜防水は約3倍の強度がある」と衛藤氏は強調。自由に形状を変えることもできるため、遊間の上部止水や下部止水のほか、十字遊間にも対応できる施工性もメリットの一つに挙げる。
こうした多くの利点に対して地方自治体を中心に問い合わせが数多く寄せられているという。同社はこれまでも、FRC協会が販売する防護柵補修に使用する「袋状FRC」と、ビルなど全てのRC構造に適用できる「板状FRC」の開発も手掛けており、今回開発したFRCシート膜防水もFRC協会を通じて販路拡大を進める考えだ。