【安藤忠雄】講演「可能性を求めて」 直島プロジェクトから仕事に取り組む姿勢を語る | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

公式ブログ

【安藤忠雄】講演「可能性を求めて」 直島プロジェクトから仕事に取り組む姿勢を語る

 TOTOは5日、建築家・安藤忠雄氏の講演会を東京都千代田区の有楽町朝日ホールで開いた。国立新美術館の開館10周年記念として開かれている作品展「安藤忠雄展-挑戦-」の関連イベントで、「可能性を求めて」と題し、仕事に取り組む姿勢を通して次世代の日本人に向けた真摯(しんし)なメッセージを語った=写真。
 講演で安藤氏は瀬戸内海に浮かぶ小さな島・直島をアートエリアにした、ベネッセコーポレーションの福武總一郎氏とのプロジェクトを紹介した。島の一部に、安藤氏が設計した地中の美術館がある。照明がなく、天井からの自然光だけでモネの絵が照らされている。暗すぎると思われそうだが「画家はライトアップして絵を描いたわけではない。描いた時の状態に近いのだから、暗くても見える」。既成概念を取り払い、原点に戻って考えることで、想定外の答えを導き出す。来訪者の中には、単なる暗い部屋だと思って素通りする人もいるという。
 島内の宿泊施設にアーティストが泊まる時には、部屋に画材を置いておく。10人に2人は部屋の白い壁に作品を描いていくという。「そうすることで部屋の価値が上がる。常に何かを仕掛けておくことだ。仕事は次々に発想していかなければ」
 大阪の事務所では、所員に地球儀を作らせ「自分が地球のどこにいるのか分かるか」と問い掛けて世界を視野に入れるように促す。「講演会を開くと、聴衆の3割は外国人。日本人だけが日本の中にいる」と危機感を持つ。
 安藤氏は、TOTOが運営する建築とデザインが専門の「TOTOギャラリー・間」に1985年の開設当初から携わり、現在は特別顧問を務める。講演会の冒頭、喜多村円社長は「多方面との絆を大切にしながら、われわれも建築界に貢献できる活動をしたい」とあいさつした。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら