【建築家フォーラム】最も優れた建築「GOoD Design」とは何か 鈴木エドワード氏が足跡振り返る | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【建築家フォーラム】最も優れた建築「GOoD Design」とは何か 鈴木エドワード氏が足跡振り返る

鈴木エドワード氏

 第162回建築家フォーラムが東京都墨田区の大光電機両国ビルで開かれた。建築家の鈴木エドワード氏(鈴木エドワード建築設計事務所代表)が「GOoD Design」と題して講演。卒業設計「空飛ぶ家」を手始めに、 独立から40年の歩みを振り返るとともに、自ら 「この世で最も優れた建築と確信している」と語る「GOoD Desing=神の建築」である自然、宇宙の哲学なども紹介した。
 鈴木氏は、1971年にノートルダム大卒後、ハーバード大大学院でアーバンデザイン建築学修士を取得した。バックミンスター・フラーやイサム・ノグチ、丹下健三に師事し、77年の独立以降は、アナーキテチャー(アナーキー+アーキテクチャー)をテーマに作品を発表。都心で住宅やビルの設計を手掛ける中、「眺めが見苦しかった」ことから、スクリーンとグリーン(緑)のコンビネーションで、周囲の景色と騒音を消すインターフェース(中間領域)を持つ建築に作風が変化していったという。
 鈴木氏は「ある時期までインターフェースは自分が創り上げた概念だと考えていたが、縁側など無数の中間領域を持つ日本家屋に優れたデザインボキャブラリーが潜んでいた」と語る。そこからインターフェースを現代の縁側ととらえ、借景や月見台、坪庭、露天風呂など「日本の伝統的な暮らしの知恵を新しいデザインや素材、テクノロジーに置き換えて応用すること」をデザイン・ポリシーに据えて作品づくりを続けている。
 インターフェースを用いた作品の中にも「昔のように借景できる環境や条件が少ない」ため、スクリーンなどで周囲を遮断する「ディフェンシブなもの」がある一方、マサイ族が暮らすケニアのムパタ・ロッジでは、180度以上に広がる雄大な自然の景色を積極的に内側に取り込んでおり、さまざまなインターフェースを介して心地よさを追求している。
 また、「建築に負けず自然の仕組みを追求する科学が好きだ」と語る鈴木氏は、“愛”というポジティブな思考がGOoD Design=自然の仕組みを追求する原動力だと強調。「少しでも幸せを感じられる環境づくりにまい進したい」と、今後の展望を語った。

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