活動第3期のスタートとなる今回は、建築家倶楽部の会則にも記された「むずかしいことをやさしく。やさしいことを深く。深いことをおもしろく」の今日的意義を再認識する場ともなった。
05年から代表幹事を務める古谷誠章氏は冒頭、「どのような思いで建築家倶楽部をつくり、いまの建築家フォーラムにどう受け継がれてきたのか。また、いま考えるべきテーマ、次世代に伝えるべきことは何かをアドバイスいただきたい」と趣旨を説明。
香山氏は「建築設計の視点から同じ立場で遠慮なく意見し、よい意味で批判し語り合う場をつくろう」という近江氏の姿勢の根底には「建築の言説を誰もが分かる言葉で広く社会に広げていく」という強い思いがあったとし、それは建築設計をめぐるいまの状況の中で、より強く求められているとの認識を示した。
また「和気あいあいとした雰囲気」にあって、 時に辛辣(しんらつ)に、 緊張感をもって本質的な議論を繰り広げた建築家倶楽部での故・林昌二氏の存在感の大きさも指摘した。
自らの近年の取り組みも紹介。特に前川國男設計の京都会館を保存改修した『ロームシアター京都』について、「二条通に面した都市的なファサード」などの建築的価値を守りながら、「 大切な建物を残すためには使えるようにしてほしい」という市民の声に応えることによって 「前川さんと対話しているように感じた。 これは大事なキーワードだ」などと語った。
この日は、156回までのフォーラム内容をまとめた『建築家フォーラム』記録集発刊のお披露目も兼ねた懇親会があり、建築談義に花を咲かせた。
新生建築家フォーラムは、今回も含め17年度では計10回開く。次回は16日で講師は川向正人氏。