【やさしく建築議論】「建築家フォーラム」が再始動! 17年度は10回開催予定 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

公式ブログ

【やさしく建築議論】「建築家フォーラム」が再始動! 17年度は10回開催予定

再始動した建築家フォーラム

 建築家フォーラムが再始動、事務局を大光電機に移して最初のフォーラムが4月25日に東京都墨田区の大光電機両国ビルで開かれた。同フォーラムとして第157回を数える今回の講師は、建築家で東大名誉教授の香山壽夫氏(香山壽夫建築研究所所長)。前身の建築家倶楽部を草創期から支えた幹事の1人として、創設者である故・近江榮氏が込めた思いに言及。一部のスターアーキテクトだけでなく多様な組織の中で建築設計に携わる人が垣根なく集まり、自由に話し合うことのできる場とともに、「日常に使うのが建築。難解な言葉ではなく、みんなに分かる日常の言葉で建築の議論をしよう」という意識を継承していく重要性を強調した。 建築家倶楽部は1991年4月、近江、香山両氏と池原義郎氏の3人が発起人となって設立した。フィグラが事務局機能を担い、銀座に講演会場も提供。10年間で231回を開催した。2001年1月からは「建築家フォーラム」として活動を継続。新たにINAX(現LIXIL)が事務局としてサポートし、16年12月までに計156回開いている。
 活動第3期のスタートとなる今回は、建築家倶楽部の会則にも記された「むずかしいことをやさしく。やさしいことを深く。深いことをおもしろく」の今日的意義を再認識する場ともなった。
 05年から代表幹事を務める古谷誠章氏は冒頭、「どのような思いで建築家倶楽部をつくり、いまの建築家フォーラムにどう受け継がれてきたのか。また、いま考えるべきテーマ、次世代に伝えるべきことは何かをアドバイスいただきたい」と趣旨を説明。

香山壽夫氏

 香山氏は「建築設計の視点から同じ立場で遠慮なく意見し、よい意味で批判し語り合う場をつくろう」という近江氏の姿勢の根底には「建築の言説を誰もが分かる言葉で広く社会に広げていく」という強い思いがあったとし、それは建築設計をめぐるいまの状況の中で、より強く求められているとの認識を示した。
 また「和気あいあいとした雰囲気」にあって、 時に辛辣(しんらつ)に、 緊張感をもって本質的な議論を繰り広げた建築家倶楽部での故・林昌二氏の存在感の大きさも指摘した。
 自らの近年の取り組みも紹介。特に前川國男設計の京都会館を保存改修した『ロームシアター京都』について、「二条通に面した都市的なファサード」などの建築的価値を守りながら、「 大切な建物を残すためには使えるようにしてほしい」という市民の声に応えることによって 「前川さんと対話しているように感じた。 これは大事なキーワードだ」などと語った。
 この日は、156回までのフォーラム内容をまとめた『建築家フォーラム』記録集発刊のお披露目も兼ねた懇親会があり、建築談義に花を咲かせた。
 新生建築家フォーラムは、今回も含め17年度では計10回開く。次回は16日で講師は川向正人氏。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら