【think++セミナー】人間とテクノロジーの関係を考える 石田秀輝氏が「自立型の暮らし」へのヒント紹介 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【think++セミナー】人間とテクノロジーの関係を考える 石田秀輝氏が「自立型の暮らし」へのヒント紹介

 日本設計が主催するthink++セミナーが東京都港区の新国立美術館で開かれた。「人間とテクノロジーの関係を考える」春の技術セミナーでは、東北大名誉教授の石田秀輝地球村研究室代表が「あたらしいものつくりと暮らし方のか・た・ち」と題して、依存型の暮らしから、“バックキャスト思考”にもとづく自立型の暮らしへの移行に向けたライフスタイル・イノベーションのヒントなどを紹介した。

東北大名誉教授の石田秀輝地球村研究室代表

 INAX(現LIXIL)を経て東北大教授に就いた石田氏は、ものづくりとライフスタイルのパラダイムシフトに向けて発信。自然のすごさを賢く生かすネイチャーテクノロジーを提唱し、退官後の14年からは鹿児島県沖永良部島に移住し、環境戦略・政策を横断的に実践できる社会人の育成や子どもたちの環境教育に取り組んでいる。
 石田氏は、「現在から未来を考える従来型のフォーキャスト思考では、テクノロジーの価値は普遍であり、そこから創造される未来は“完全介護型のライフスタイル”になる」と指摘。それに対して、「1つの地球という大きな制約からいまを見る思考回路が必要だ」と、制約を肯定して解を考える“バックキャスト思考”では、気候変動などを「リスク」から「制約」に発想を転換する必要があると強調した。
 そこで重要なのが長い歴史の中で淘汰を繰り返してきた自然や動植物などの自然の中に学ぶ“ネイチャーテクノロジー”であり、自身が考案した『水のいらないお風呂』は、自然界にある泡に着想を得たわずか3-6リットルの水で入浴可能な『水のいらないお風呂』などを紹介しつつ、自然のドアをノックすることの大切さを説いた。
 東北大を退官後に移り住んだ沖永良部島は、「自然、人、コミュニティーが色濃く残り、仕事と生活が重なっている島の中で、人口減少を肯定するという制約を設けることが大事だ」と強調。“島の素敵”を学び直すとともに、エネルギーや食の自足、島のサテライトカレッジによるリーダーづくり、基金による経済の自足などの取り組みを紹介した。

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