【健康建築】ワークスペース「Think Lab」に潜入 世界一集中できる環境の秘密に迫る | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【健康建築】ワークスペース「Think Lab」に潜入 世界一集中できる環境の秘密に迫る

 「世界一集中できる環境」。眼鏡販売を手掛けるジンズが運営する会員制ワークスペース「Think Lab(シンク・ラボ)」は、このコンセプトの実現を目指し、植物や照明、家具など集中力を高める要素にこだわり、つくり上げられた。パソナ・パナソニックビジネスサービス(大阪市、青山光洋社長)が展開する健康経営ソリューション「COMORE BIZ(コモレビズ)」の導入第1号案件でもあり、最適な緑量と自然音が働きやすい空間の構築につながっている。

デスクスペースにはシュロチクを配置


 シンク・ラボは、東京都千代田区の飯田橋グラン・ブルームにあるジンズ本社階下に、2017年12月にオープンした。延べ1390㎡の空間は、162席が並ぶデスクスペースを始め、ミーティングルーム、カフェスペースなどで構成する。
 建築家の藤本壮介氏が空間デザイン、予防医学を研究する石川善樹氏が集中を生み出す要素をそれぞれ監修した。パソナ・パナソニックビジネスサービスを始め、コクヨやオカムラ、大光電機、食品メーカーなど17社と連携。集中力を高める要素として緑視率、光マネジメント、音楽、椅子、飲食、ジムの6点に注力した空間をつくりあげた。
 ジンズは、視線やまばたき、体の動きから集中力を計測する眼鏡型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」で収集したデータに基づき、社員が集中できるオフィスの構築を検討していた。そうした中、寺社仏閣からも着想を得て、集中をテーマとしたシンク・ラボの構築が始まった。ジンズコーポレートコミュニケーション室の石井建司氏は「みんなが気持ち良く使える空間を目指した」と話す。
 コモレビズは、ストレス軽減につながる最適な緑視率と独自の植物データベースから、ニーズに応じたオフィス空間を提供する。シンク・ラボのデスクスペースには、コモレビズのエビデンスに基づいて観葉植物が効果的に配置され、鳥のさえずりなど自然音が流れる。
 コモレビズの導入のきっかけについて石井氏は「データに基づいたサービスを展開していた」点を挙げ、「眼鏡を扱う事業を手掛けていることもあり、視覚から入る情報はデータに基づいたものにしたかった」と説明する。
 デザイン性も追求した。理想とする寺社仏閣に近づけるために観葉植物として置かれているシュロチクは、当初コモレビズの植物データベースに登録されていなかったが、ストレス軽減の効果を測定し、その効果が明らかになったことから導入を決めた。

集中力を高める要素を追求した

 利用者からは「緑が多くリラックスして働ける」などの感想が寄せられているという。植物が間仕切りとしての役割も果たし「閉じすぎず、開きすぎず、適度なオープンスペースを演出している」(石井氏)。
 ジンズは、シンク・ラボの運営を機に、企業内のワークスペースの監修も手掛けている。既にAGC本社やパナソニックの研究拠点などで集中を高める空間の構築に携わった。
 シンク・ラボには、オフィスの刷新を検討している企業の総務担当の見学も多く訪れる。石井氏は「引き合いは多い」と感じており、「企業にイノベーションを起こすことを目指している。集中だけではなく、コミュニケーションも必要で、そのための要素を模索していく」と見据える。
 今後、ジンズは企業内のワークスペースの監修で得た知見をシンク・ラボへ導入することも検討している。石井氏は「集中して働ける空間があることは、社員の心の健康にもつながるのではないか」と語る。

カフェスペースも備える

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