【健康・快適空間づくり】オフィスが体にもたらす影響とは? エビデンス提示のため実験進む | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【健康・快適空間づくり】オフィスが体にもたらす影響とは? エビデンス提示のため実験進む

 働き方改革や健康経営が企業の重要課題となり、『快適』『健康』がオフィス空間づくりのキーワードとして上がる中、どういう空間がどれだけ快適・健康につながるか、といったエビデンスの提示が重要なポイントとなっている。ゼネコンだけでなく、空間づくりを手掛けるメーカーなどでも多様な企業と連携しながらデータを取得して分析する実験が進んでいる。

IoTで感情分析 大和リース、NEC
 大和リースとNECは、オフィスなどで仕事する人が快適に働ける職場環境づくりを目指し、両社の商品を使った新システムの有用性を検証する実験を進めている。今回の実証実験で得たデータを分析し、職場環境を改善する新システムの商品化を目指す。
 実験は、大阪市の大和リース大阪本店に実験空間をつくり、同社従業員を対象に10月24日から1カ月間の予定で実施した。リストバンド型のウェアラブルデバイスを使って心拍変動データから感情を可視化する「NEC感情分析ソリューション」を使い、通常のオフィス内で過ごした場合と室内緑化に自然音やアロマ・木製家具などを複合的に組み合わせた大和リースの空間商品「VERDENIA」(ヴェルデニア)内で過ごした場合の感情変化を実証する。
 実験の途中経過では、ヴェルデニアで過ごした際に従業員の感情が心地よい感情(興奮・喜び)に改善されていることを確認している。

大和リース大阪本店の実験の様子


植物共生効果を検証 パソナ・パナソニックビジネス、トヨタ自動車
 パソナ・パナソニックビジネスサービス(大阪市、青山光洋社長)は、オフィス空間における健康経営ソリューション「COMORE BIZ」(コモレビズ)のサービス向上に向けたトヨタ自動車との共同研究の第2弾を開始した。「植物と共生しながら働く空間が人に与える効果」をテーマとしている。
 コモレビズは、ストレス軽減につながる最適な緑視率と独自の植物データベースから、ニーズに応じたオフィス空間を構築し、導入後の効果測定としてストレスを数値化して提供する。初弾の共同研究では、太陽光型環境制御温室(バイオトロン)に自然の森林の中にいるような空間をつくり、植物が人にもたらす効果を検証した。
 第2弾では、初弾の検証で導き出した自然が持つ有用な要素を実装した空間をつくり、より実用的な環境下での人への効果を検証する。疲労感軽減、集中力アップ、活力アップの3種類のデザインを取り入れ、複数人が同時検証可能なオフィスを用意、長時間滞在・働いた時の効果を測る。
 両社の共同研究では、バイオフィリックデザイン空間での定量的な設計指針の確立や空間が人に与える影響の検証、森林が持つ「人にとって有用な空気質」を再現する基盤技術の開発を進める予定だ。

疲労軽減が期待されるエリア


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 両事例だけでなく、大手ゼネコンや什器メーカーなどもエビデンス提示のための実験を各方面で進めている。今後、こうした知見が集約され、科学的根拠に基づく快適・健康な空間のあり方が確立されていく。

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