【働きかた】事務系女性社員らが現場にGO! マンション設備検査支援でモチベーションもアップ | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【働きかた】事務系女性社員らが現場にGO! マンション設備検査支援でモチベーションもアップ

 女性のさらなる活躍や現場の支援などを目的に、クリマテック(東京都新宿区、西田文明社長)が2015年6月に発足させたマンション社内検査チーム「なでしこ」の活動が3年目に入った。本社内勤の事務系女性社員らを中心とする有志でチームを結成。各自が本業の合間をぬって現場に出向き、社内検査を手伝う。女性ならではの感性を生かしながら、水回り設備などの品質や使い勝手を細かくチェック。いまでは竣工検査だけでなく、中間検査にも参加するようになった。 なでしこは『クリマテックが施工した物件をしっかり検査し、良いものを責任を持ってお客さまにお渡しする』ことを基本理念に、当時専務だった西田社長の発案で組織された。

社内中間検査の様子

 得意先の長谷工コーポレーションの新築マンションを対象に活動を展開。技術的な知識やノウハウが豊富なベテラン社員などとペアを組み、自社が施工した給排水衛生・空調設備の品質や機能を見定める。検査する個所を写真付きで分かりやすく解説したハンドブックも作成。15年度は653戸、16年度は659戸の社内竣工検査を実施した。
 現在のメンバーは女性7人、男性3人の計10人。設備第二事業部や営業統括部、見積購買部、設計部、工事管理部、リニューアル計画部など、さまざまな部署から有志が集まっている。

指摘事項を確認

 担当部署から事前に提示される当面の検査スケジュールと自身の本業の予定を照らし合わせ、参加可能日を見つけて現場に出動する。なでしこ副リーダーの松浦晶子さん(設備第二事業部工務グループ課長代理)は「検査に行くために自分の仕事を早く片付ける」ほどの気の入れようだ。
 現場では、1戸当たりに15-20分程度をかけて検査しているが、リーダーの辰口礼奈さん(営業統括部主任)は「スピードはあまり意識せず、何よりも丁寧さを大切にする」との姿勢を貫く。
 松浦さんは「自分の責任で検査済みのサインをする。専門的な知識が少ないだけに、より慎重に検査している。まだまだ知らないことは多いが、その分わたしたちには慣れがない。今後も慣れないようにしなければ」と肝に銘じる。
 「男性が手を抜いているというわけではないが、わずかなへこみも見逃さない着眼点や、繰り返しの作業でも気を抜くことなく着々とこなす根気強さなど、やはり女性は違う」。なでしこの指導・助言に当たる設備第二事業部の諸角誠専任部長はこう評する。
 元請けの長谷工コーポレーションは、建設現場における女性活躍を積極的に推進中。専用の更衣室やトイレなどが設置され、女性の働きやすい環境が整っている。クリマテックのなでしこは、こういった女性向け施設も借りながら業務を遂行。辰口さんと松浦さんは、「女性だからということで現場で困ったことは一度もない」と声をそろえる。

社内検査チーム「なでしこ」のメンバー

 なでしこの活動領域は拡大の一途をたどっている。昨秋からは研修を経て、中間検査にも加わるようになった。「裏側も見える中間検査を経験したことで、竣工検査で見るべきところがより明確になった」と松浦さん。配管の内部や勾配に問題がないかを調べる通称ボール流しなども体験した。安全面を考慮し、あえて除外している床下検査にも目を付け、「酸欠防止のための講習を受けて資格を取る」と向上心は増す一方。その勢いに「あくまでも安全第一で…」と会社側もたじたじだ。
 事務系の仕事でも当然、専門的な用語や資機材名などは日々飛び交う。現場に出て実物に触れることで、仕事の理解は飛躍的に深まる。「まさに『百聞は一見にしかず』を実感した」と辰口さん。「現場の方々がいないと、建設の仕事は成り立たない。仕事を取ってくるのが営業職ではあるが、検査で現場に出ることで、ものづくりに携わっているという気持ちになれた」と目を輝かせる。
 なでしこチームの組成が、部門を超えた会社の一体感の醸成や女性社員のモチベーション向上に、一役買っていることは間違いない。

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