【雷対策】避雷器(SPD)に分離器を内蔵! 配線の手間省き業界初のコンパクトさ実現 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【雷対策】避雷器(SPD)に分離器を内蔵! 配線の手間省き業界初のコンパクトさ実現

 近年、異常気象の増加によって、落雷による電気設備などへの被害が多数報告されている。一方、生産性向上や施設を運用する上で、雷に対する危機管理はBCP(事業継続計画)の一環として、必要不可欠なものとなっている。電気設備への雷対策としては、「SPD(避雷器)」の設置が一般的だ。
 雷対策の専門メーカーである音羽電機工業(兵庫県尼崎市、吉田修社長)は今月、これまでにない新製品「免雷分離器SPD」をリリースした。業界に一石を投じることとなるのか。
 2014年のJIS改正(JIS C 5381-11)により、電源用SPDの安全対策の規格が変わった。新たな安全措置として、SPDが万が一、短絡状態(ショート)で故障した場合、電源回路から安全に遮断する「分離器」の設置が追加された。業界各社は、SPDに外付けの分離器(ヒューズ)を設置することで、ひとまずJISの規定を満たした。
 営業部の広瀬剛志部長はこの対応について「業界にとっては課題のあるJIS改正だった」と振り返る。「分離器が追加されたことで、盤内におけるSPDスペースが増加することになった。SPDを扱う盤メーカーは、25mm(1P)刻みのJIS協約形の寸法に基づき分電盤の設計を行っているが、外付け分離器は形状が異なるために標準的な設計が困難となる。また配線工程が増えることで製造コストが上がってしまうという課題もあった」と話す。

広瀬部長(右)と赤穂部長

 「免雷分離器SPD(LT-TS2312シリーズ)」は、これらの課題を解決するために開発された新製品だ。
 技術部の赤穂智章部長は「独自の技術で開発した小型で高性能な分離器をSPDに内蔵し、顧客から要望の高いJIS協約形の寸法(5P)を実現した。これにより盤への設置が容易となった。また、分離器を内蔵することで配線する手間を省いた。点検時には切替レバーを操作し、電源回路から開放することで無課電の点検が可能となる。点検用の断路機能一体型のため、SPD劣化時は回路から簡単に取り外し交換ができる」と利点を語る。このほか、SPD劣化時に外部への通報発信機能を持つタイプもラインアップした。
 広瀬部長は「SPD点検用の断路機能を一体型にし、ここまでコンパクトにしたSPDは業界初。今後も顧客満足を追求した製品を展開していきたい」と語る。独自技術を用いて、いかに付加価値を提供できるか。音羽電機工業の挑戦は続く。

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