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私と東日本大震災の15年

寄稿・金子健郎(日本道路東京支店営業部)

最終更新 | 2026/04/21 09:56

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のため人のため行動

東北宮城復興マラソン出場時の筆者

 2011年、私は岩手県全域の営業統括業務に携わっておりました。3月11日、岩手県内陸部で大きな揺れを感じ、事務所に戻ろうと、停電と余震が続く中、車のラジオから流れる情報に「これはただ事ではない」と思いながら、宮城県石巻市に住む両親に、何度かけてもつながらない電話をかけながら、普段なら1時間で帰る道を、3時間かけて移動したことを昨日のことのように覚えております。
 震災直後は、自衛隊や消防、警察の皆さまが最前線で活躍する中、われわれ道路業界の役目は何なのだろうかと自問自答しながら、被災している従業員や家族に物資を届けることで精いっぱいでした。
 物資を届ける中、被災地で感じたことは自然の脅威と人間の無力さです。何年何十年と築いてきた街を、構造物を、一瞬で破壊する力、なすすべのない状態は、まるで映画を見ているかのような光景でした。同時に被災地に向かう消防車やパトカーは渋滞、凸凹の道に赤色灯がどこまでも続き、道路の必要性を強く感じました。
 4月に入り本格的に仮設住宅の建設が始まり、計画地までの道路建設、造成工事に携わりました。私が担当した岩手県沿岸はリアス式海岸になっており、平地は浸水により土地がなく、高台の避難場所や警察、自衛隊の拠点に隣接する場所で建設がスタートしました。
 避難場所から近いこともあり、被災されている方々に声を掛けていただきながら、一日でも早く完成させたい思いで、9月末の仮設住宅通路舗装工事が終わるまで、仮設住宅の建設に携わらせていただきました。半年間の工事を通して感じたことは、人の強さ、優しさ、絆です。早期に完成させたい思いは誰しもが一緒で、被災者、地域の方々、発注者、協力業者、全ての協力なしには進められない工事だったと思っております。何もないところに造り上げていく人間の底力を感じました。全国から応援いただいた皆さまには、改めて感謝申し上げます。
 その後16年までの5年間、岩手、宮城両県内で、道路や民間施設の復旧に携わり、17年より東京勤務となりました。全国エリアの担当となり、初対面の方々とお話するときは、必ずと言っていいほど出身地の話になります。私が「宮城県石巻市出身です」と話すと、大半の人が「震災は大丈夫でしたか?」と、少し気まずそうに聞かれます。「住宅の被害はあったものの、幸い家族はみな元気に過ごしています」と答えると、ほっとした様子で震災当時の話になります。このとき私が心掛けているのは、震災当時の状況、復興の進め方などをありのままに伝えることです。あの時の経験が、少しでも他の地域の役に立てればとの思いで、言わば復興の語り部をしています。
 23年に東北勤務に戻り、その年の東北宮城復興マラソンを走りながら、仙台市の荒浜小学校震災遺構を横目に、復興された街並みを見て、何とも言えない気持ちになったことは忘れられません。
 仕事面では、石巻市で発生する廃漁網を、道路改質材として生まれ変わらせ、それをアスファルト混合物に添加することで舗装を強くする開発・販売に取り組んでおります。漁網が集まる石巻市とSDGs(持続可能な開発目標)パートナーを組むなど、被災地との関わりは続いており、復興を超えて、官民、異業種みなで、地域の活性化、環境問題に取り組み続けることが大切だと思っております。
 あっという間の15年でしたが、震災復興に携わってきたことはかけがえのない経験となりました。あの日以来、何かをする前に、「世のため人のためになるか」と考えるようになりました。目先の物事にとらわれず、最終的に自然と人に優しい行動や提案、そしてみんなが安心して生活できる環境を目指し、語り継いでいきたいと思います。

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