【公共空間トイレ】心の性別で使えるように! TOTOがLGBT配慮のセミナー全国展開、プランも用意 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

公式ブログ

【公共空間トイレ】心の性別で使えるように! TOTOがLGBT配慮のセミナー全国展開、プランも用意

MEGAドン・キホーテ渋谷本店に設置された「オールジェンダートイレ」

 TOTOが、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)に配慮した公共空間のトイレのあり方を提案している。渋谷区の同性パートナーシップ条約が成立した2015年を契機に、性的マイノリティへの配慮に注目が集まった。LGBTは人口の8%とも言われるが、まだトイレ利用の実態がつかめない状態だ。20年の東京五輪を控え、世界基準のユニバーサルデザイン化の一環として、LGBTへの配慮も広がっている。
 ことし8月、都内で大手企業の厚生担当者らがLGBT社員の処遇について問題共有するシンポジウムが開かれた。性転換手術のための長期入院休暇、同性パートナーの承認などの制度は整っても、トイレの整備はこれからの企業が多い。「心の性別のトイレに入りたくても、見た目は異性の人もいる。職場階から遠い、共用トイレを使ってもらっているが、いつまでも続けられない」と頭を悩ませる。
 同社は1971年に、国内に先駆けて障害者に配慮したユニバーサルデザインのトイレを世に送り出した。91年には高齢者に配慮したトイレの「シルバー研究室」を発足、40年以上にわたり、公共トイレのバリアフリー化で先導的な役割を担ってきた。
 「心と体の性別が違うトランスジェンダーにとって、公共のトイレは性別を問われる行きづらい場所になっている」と冨岡千花子販売統括本部プレゼンテーション推進部東京プレゼンテーショングループ企画主査は語る。同社の調査によると、心理的抵抗感からトイレに入れず、膀胱炎や排泄障害にかかる当事者も多いという。調査結果を踏まえ、同社は交通・商業・オフィス学校などでの配慮について、全国でセミナーを開いている。
 TOTOは、幾つかのプランを用意した。男女のトイレの手前に、車いす使用者優先トイレとは別の、誰もが使える男女共用トイレを設置したプランや、広さを必要としないケースに配慮した着替えスペースつきトイレを設置するプランなどがあり、思わぬカミングアウトにならないよう、多目的性を持たせた男女共用広めトイレの設置も推奨する。
 また、オフィスの場合には、自動販売機や給湯室など、誰もが通りかかる場所に、男女共用型の「誰でもトイレ」の設置が有効だという。既に工事を施した企業もあり、徐々に広がりを見せている。
 東京都オリンピック・パラリンピック準備局では、障害の種類によって何タイプかのトイレを用意する「機能分散」型のトイレ整備を推奨している。「この中に、性的マイノリティを受け入れる余地も作っていくことができれば」と冨岡主査は話す。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら