潜在的な興味引出す
「やりたいことを見つける」を当たり前に--。SenseDrive(東京都港区)は、企業の魅力を独自の方法で深掘りし、就職活動でも転職活動でもない“仕事体験”を提供する。仕事の魅力を体感し、潜在的な興味を引き出すことで、「やりがいを持ち、ワクワクしながら生活する人を増やしたい」という思いを形にしている仲上祐斗社長と杉本知恵莉COOに、同社の仕事体験が生まれたきっかけや今後の展望を聞いた。
「やりたい」を見つける仕事体験を提供
仲上氏は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)勤務時代に、さまざまな仕事を視察する機会に恵まれたという。その経験を通じて「世の中の仕事内容を知る機会を身近にすることで、自ずと仕事が面白いと思えて、興味が持てるのではないか」と考えるようになった。一方で「日本人はやりたいことを見つける・興味のあることを探すといった自己啓発に時間やお金をかけない傾向があることも分かった」とも。
そのため、気張らずに自己啓発できる方法を検討し、“エンターテインメント”の考え方に行き着いた。「偶然面白そうなイベントを見つけ、足を運んでみたら結果的に仕事について知り、興味を持って深掘りしよう、インターンシップや企業見学に訪れたいといった流れをつくりたい」と力を込める。
同社は現在、インターンシップの受託事業を展開する。「外部だからこそ気付ける仕事の魅力を深掘りし、それを体験できるイベントを企画・運営するノウハウがある」ことが同社の強みであり、杉本氏も「会社のビジネスモデルや、同業他社と比較した際の強みや伸びしろ、仕事のプロセスなどを整理し、魅力として抽出して可視化する」ことが特長と語る。
昨年9月には、東急建設の価値創造推進室イノベーション推進部新規事業開発職を対象としたオープンカンパニーの企画・運営をサポートし、業務の本質と魅力を体感できる実践的ワークショップを実施した。参加した学生の満足度は高く、東急建設からも「学生の柔軟な発想から、社内では気づかなかったイノベーション文化醸成活動の新たなアプローチを発見できた」と評価する声が上がっている。
“たまたま”が転機に
ただ、インターンシップや仕事体験は、興味がある人を逃さない取り組みとして有効である一方、イメージだけで敬遠している人や、興味を持っていない人たちにアプローチする観点ではあまり効果がないという。
そこで気軽にさまざまな仕事に触れることができる仕事体験プログラムとして展開しているのが「みつけイロ」だ。
6月1、2日に開かれた横浜開港祭では、「花博ストリート」と「こども職業体験」の2エリアにブース出展し活況を呈したほか、今月25日には静岡市の静岡県コンベンションアーツセンター/グランシップで「みつけイロ in TECH BEAT Shizuoka 2026」を開催する。
提供する仕事体験には特徴がある。「エチュード(即興劇)」といって参加者に役割を振り、台本を渡して、実際の仕事に近い形で体験してもらう。体験シーンは、「企業が魅力を伝えたい場面」から抽出する。
例えば建設業では、モックアップでの作業や、施工管理などホワイトカラー系の業務などで「計画の立案や技能者とのコミュニケーションをエチュードによって体験してもらえるのではないか」と見込む。
ミスマッチを防ぐ
建設業について仲上氏は、「先行するイメージだけで職業の選択肢から外れている」と指摘した上で「やりたいことを見つける環境づくりは、イメージと実際のギャップが大きければ大きいほど意味がある」と話す。特に多種多様な職種がある建設業では、それぞれが興味を持てる分野が見つかりやすいことから、「イメージギャップを体感する仕組みを作ることで、ミスマッチを防げるのではないか」と提起する。
杉本氏は「同じ業種でも魅力は異なるため、個々の仕事や職種まで掘り下げる。製品やサービスが生まれるまでのプロセスや、そこで誰が何をしているのかに着目している」と話す。こうした魅力の抽出は、人材採用だけでなく、業務の整理、リブランディングなどに需要があるほか、「伝統工芸や地方企業にとっては観光施策にもなる」と強調する。
「先進国になればなるほど、仕事にやりがいを追求するようになるが、日本人はやりたいことを探すことが苦手な国民性であり、それを見つける環境が必要になる」と仲上氏。「やりたいことを見つけるための新しい刺激として、身近であるのにブラックボックス化されている仕事の体験がマッチする」とし、「ふらっと立ち寄ることで意図しない気付きを促す、エンターテインメント色のあるイベントを開催したい」と意気込む。将来的には「常設型の仕事体験を提供したい」と展望する。



