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【築地市場移転】東京都・市場問題プロジェクトチーム議論を振り返る 佐藤尚巳氏×森高英夫氏

最終更新 | 2017/12/06 15:40

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豊洲市場

 築地市場から豊洲市場への移転と市場のあり方について情報公開と専門的見地から知見を集約するために設置された東京都の市場問題プロジェクトチーム(PT)が11カ月にわたる議論を終えて8月に解散した。完成した建物の安全性をめぐり専門家である問題提起者と設計者、委員が公の場で議論を交わすなど異例の展開をみせた。PT委員のうち、建築家の佐藤尚巳氏と森高英夫日本建築構造技術者協会(JSCA)会長が対談して、PTを振り返るとともに専門家の役割を再考してもらった。(聞き手・編集局 今野英司)

■正しく構造を理解される技量

--PTを振り返っていかがですか
 森高 PTの最初のテーマとして“建物の構造計算”が示されました。確かに構造計算は構造設計業務の一部ですが、それが構造設計者の業務そのものとして独り歩きする懸念を感じました。われわれの職能が全く理解されていないことを痛感し、それ以降、機会をとらえてはJSCA会員に“構造の専門家として正しく理解される技量も大事だ”と説いています。
 佐藤 目標に向かって作業をするのがプロジェクトチームという認識がありました。テレビや新聞をにぎわせていた“謎の地下空間”などの不安を払拭(ふっしょく)し、移転に向けた前向きな議論の場ととらえていました。ふたを開けると“豊洲市場はダメだ”という前提があり、これに対して専門家として1つずつ反証していきました。豊洲市場の価値を毀損(きそん)し、築地市場を再整備するためのPTだったのではという疑念さえ抱いています。小池百合子知事は9年前に猪口邦子氏と佐藤ゆかり氏との共著である『東京WOMEN大作戦』の中で、既に築地の再整備に言及しており、その思いを実現しようとしたのではないでしょうか。

■設計者は守秘義務で反論困難

--問題提起者と設計者による議論が公の場で展開されました
 森高 事前にメディアで建物の安全性への疑義が喧伝(けんでん)されたため、2回目のPTは特に注目されました。全体の議論の入り口であるこの問題をしっかりとクリアできなければ、ここで終わるのではないかという危機感もありました。問題提起者は構造の専門家ですが、構造計算書と図面の齟齬(そご)を見つけることはできても設計思想までは読み取れていなかったのだと思います。
 あれだけ建物の安全性について報じられていましたが、設計者は守秘義務があるため、公に反論するのは難しいのが現状です。そのままフェイクニュースが拡散されるという問題もあります。PTの中で問題提起者が実際に予測される振動以上に模型を大きく揺らして見せました。あれは完全にミスリードで、インターネットの配信やテレビで見た専門外の人は信じてしまいます。余計な不安を与えないことが専門家の重要な使命だと改めて考えさせられました。

■実現性で議論かみ合わず

--豊洲への移転と並んで築地市場の改修案も議論されました
 佐藤 PTを通じて豊洲市場は安全という理解が広がりつつあった3月の第7回PTの直前に示されました。会議の席でも座長が説明しただけで、われわれに発言する機会は与えられませんでした。ただ、わたしも築地の文化的な価値は高いと思うので、再整備できるならば考慮に値すると思いました。ただし、使いながらの再整備には実現性がないことを指摘しましたが、他の委員と議論がかみ合いませんでした。建て替えと移転についてそれぞれ従来方式と民間活用の4案についてオーソドックスな案の評価、期間や費用の諸条件をそろえて報告書に記載して提出しましたが、1週間後には小池知事の方針決定が公表され、築地を残すためにいったん豊洲に移るという結論になったようです。
 森高 それとは別に築地市場は老朽化と耐震性の不足という課題を抱えています。PTの中で危険性を2度ほど指摘しましたが、メディアでは報じられませんでした。大きな地震が発生して、観光客や市場関係者が甚大な被害を受けた場合、誰が責任を取るのかという大きな問題があります。報告書にも最初は記載がなかったため、小島敏郎座長にお願いして盛り込んでいただきました。

■専門家と市民の認識に隔たり

--全国的に公共建築事業が危機に瀕しています。専門家にはどんな役割が求められているのでしょうか
 佐藤 ケース・バイ・ケースなので一概には答えられません。ただ、政治家に比べて建築家は無力であり、政治家の思いに振り回されているのは、とても悲しいことです。そこまで建築家が責任を持ち意思を決定しているわけではないということは理解していただきたい。
 森高 環境が変わることに根強い不信感があるのではないでしょうか。どうしてもマイナスにとらえられてしまいがちです。昔に比べて市民の意識が高まっており、関係者が粘り強く説明して理解を得ていくことが大切です。
 われわれには国民の生命・財産を守るための設計が求められています。専門外の人は耐震基準さえ満たしていれば安全だという思い込みがあります。地震ですぐにつぶれることがなくても建物は確実にダメージを受けています。こうした専門家と市民との認識のギャップを早いうちに埋めなければなりません。
 佐藤 震度7が連続した昨年の熊本地震では最初の大きな余震では大丈夫でしたが、次の本震で多くの建物が倒壊しました。大きな地震の連続を考慮していない建築基準法の盲点です。予測できない自然災害もあり、絶対の安全はないという事実を専門家は強調し、市民とも共有しておく必要があります。

■技術者の誇りを守る

--同様のことが起きた場合は、今後はどのように対応すべきでしょうか
 佐藤 今回のPTでは理路整然と正しいことを述べることで、最善ではないが当初の目標は達成できました。後から都の職員に“自分たちは救われた”と感謝されました。彼らも自分たちの取り組みが全否定されるような話ばかりでした。技術者として当然の取り組みが、後から犯人扱いされ、罪に問われることがあってはならないと思います。
 森高 PTに参加したことで、建設業界の利益代表のように言われたこともあります。百歩譲ってそうだとしても豊洲市場のプロジェクトに携わった人たちは生活を掛けて取り組まれました。その人たちの人生を否定するような発言は許せませんでした。建設業界全体で声を上げるべき課題だったかもしれません。

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