【福上産業】徹底的にICT建機を活用しA等級にランクアップ! CATの建機20台を購入 | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

公式ブログ

【福上産業】徹底的にICT建機を活用しA等級にランクアップ! CATの建機20台を購入

作業効率が上がり時間も短縮、社内評判もいい

 土木工事業を手掛けてわずか10年の福上産業(鹿児島県薩摩川内市)は約4年前から情報化施工に取り組み、活用現場は累計40現場を超えた。その割合は同社全体の受注件数の9割にも達する。「現場規模にかかわらず、請負金額が数百万円の水道工事にも徹底的にICTを活用する」と福上隆雄常務は胸を張る。
 同社は下請けとして全体の8割、元請けとしても2割の工事を受注、うち9割を国土交通省の直轄工事が占める。性能はもとよりアフターサービスの充実度、営業マンへの信頼から、キャタピラーのICT建機20台以上を購入した。3億円超の積極投資を進めている。
 現在は九州地方整備局が発注する「熊本3号大迫地区改良3工区工事」(熊本県水俣市)で和久田建設(同八代市)の下請けとして重機施工を担当中。キャタピラーの『336FXE-3DMG』『D6T-3DMC』など多数のICT建機を投入し、インターチェンジに構造物を建設するための切土、盛土などを行っている。UAV(無人航空機)による起工測量を始めとした測量や3Dデータ作成の担当者は、数年前には塗装業の企業から転職してきたばかりの初心者だった。
 実は、元請けの和久田建設にとっては初めてのICT活用現場だ。福上産業のICT施工における豊富な実績に裏付けられた逆提案が決め手となり、「安心して新しいものに挑戦できると思った」と和久田建設の田中勝一土木事業部部長は語る。「3次元データを活用することで正確な位置や深さが示され、事前の丁張りが不要になるなど作業効率が上がるだけでなく、安全面のリスクも相当抑えられている」と手応えは抜群だ。
 福上産業では、社員約60人のうち40人が土木工事に携わる。ICT活用により作業時間が短縮し「家族と過ごせる時間が増えた」と社内の評判は上々。海外への社員旅行など、社員の福利厚生に時間と費用を還元できるようになった。業界の例にもれず高齢化という課題を抱えるが、視力の衰えから法面整形に自信を失っていた熟練オペレーターも、モニターを活用することで意欲を取り戻した。
 10月には、担い手育成を目的に若手が集う「青年部」を設立した。ICT施工の研修会やボランティア、スポーツ交流などユニークな活動を計画している。こうした評判が呼び水となり、オペレーター志望の女性も入社した。育児休暇を経て来春に復帰する女性社員には3次元データによる検査・納品などを担当させるべく教育を進めている。在宅でも作業できれば、育児と両立する上で大きな助けになる。

福上隆雄常務

 4年前には鹿児島県の土木評定C等級だったが、こうした取り組みがA等級にランクアップする要因にもなった。福上常務の「他社に負けない技術力を」との思いは強い。近く着工する新社屋には、ICT専門室や3次元データを処理する技術室も設ける。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら