【2018は国際サンゴ礁年】浚渫時の配慮や再生技術で守ろう! 鹿島やアジア航測がサポーターに | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【2018は国際サンゴ礁年】浚渫時の配慮や再生技術で守ろう! 鹿島やアジア航測がサポーターに

鹿島が開発した人工基盤上で成育するサンゴ

 サンゴ礁の生態系保全にとって、2018年は節目の年になりそうだ。国際機関「国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)」が、ことしを「国際サンゴ礁年」に定めるとともに、環境省が16年度から進めているサンゴ礁生態系保全行動計画の中間報告もまとまる。昨年末にケニアで開かれたICRI総会では、浚渫工事などにおけるサンゴ礁生態系への影響懸念が指摘され、工事での十分な配慮が勧告義務として示された。同省の大澤隆文サンゴ礁保全専門官は「建設業にはこうした動きを考慮して工事に取り組んでほしい」と呼び掛ける。
 サンゴ礁は全海洋のわずか0.1%に過ぎないものの、36万種におよぶ海洋生物の約25%が生息する生物多様性の宝庫。近年は地球温暖化や生態系の変化により、サンゴ礁が失われつつある。ICRIが国際サンゴ礁年を定めるのは08年に続き3回目だ。
 同省のサンゴ礁生態系保全行動計画では、重点課題として「赤土の流出」「持続可能なツーリズムの推進」「地域とのつながり」の3点が示され、より実践的な取り組みが進んでいる。生態系維持の保全対策工事に加え、ダイバーのマナーや、工芸品販売といった地域産業とのかかわりなど多岐にわたる。
 同省の調査によると、沖縄県の石垣島と西表島の周辺に位置する石西礁湖海域の調査35地点では、サンゴが着生可能な岩盤でサンゴ群体の占める範囲を示す平均被度は14.7%。半年前の調査に比べて3.1ポイントの増加となった。温暖化が原因とされる白化現象も前回の9割から5割に軽減した。楽観視はできないものの、数値は上向きに推移している。

サンゴが生息する海域公園を持つ国立公園・国定公園

 生態系保全に向け、企業の意識も前向きだ。同省がサンゴ礁年に合わせて募集したオフィシャルサポーター制度には13社が任命され、建設産業界からは鹿島やアジア航測が名を連ねた。サンゴの再生技術として人工基盤「コーラルネット」を開発し、実用化する鹿島はサンゴの生息環境評価技術も確立しており、沖縄県の慶良間諸島国立公園でサンゴ群集の再生に導入するほか、石西礁湖自然再生協議会にも参画し、社としてサンゴ礁の保全と向き合っている。
 国際サンゴ礁年の関連イベントとして、28日に東京都千代田区の明治大リバティタワーで開かれた同省主催のシンポジウムは、約300人の来場者であふれた。

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