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【ヨドコウ迎賓館】国内唯一の現存するライト設計を“あくまでも忠実に”修理中!

最終更新 | 2018/01/30 15:48

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改修前のヨドコウ迎賓館(提供:淀川製鋼所)

 兵庫県芦屋市にある国指定重要文化財ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)は、近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867-1959年)が設計を手掛け、日本国内で唯一当初の姿をとどめたライトの住宅として広く知られている。建物を所有する淀川製鋼所の手で長年大切に管理されてきたが、老朽化が進んだため2016年秋から一般公開を休止、現在、藤木工務店の手で大がかりな修理工事が進められている。 ヨドコウ迎賓館の岩井忠之館長によると、同館の大規模な修理は1995年の阪神・淡路大震災の後98年に完了した災害復旧工事以来で約20年ぶり。屋上のアスファルト防水が耐用年数に達していることから、根本的な防水対策として素屋根をかけて屋上やバルコニーのアスファルトを撤去、改めてアスファルト防水を施すことになった。

素屋根に覆われた現在のヨドコウ迎賓館。写真右端の開森橋は、欄干の色合いをヨドコウ迎賓館の外観にあわせ架け替えられた

 藤木工務店の樋口晴彦所長は、倉敷支店で長年美観地区の改修などにあたってきたが、ヨドコウ迎賓館の建物を見て「かなり傷んでいることを実感した」と振り返る。古い建物ゆえに「どこから漏水しているかがわからない。解体して状況を見つつ、原因を特定し漏水を止める必要があった」と説明する。それは「図面にないメニューが出てくる」(樋口所長)改修工事の難しさでもある。
 3カ月かけて設置した素屋根は、足場が建物を傷めることのないようトラス構造を採用した。建物西側が急斜面になっていることから補強用の足場も設けることで安全性を高めた。屋根材はトタンでなくテントシートを使うことでできるだけ軽量化、地盤への影響を最小限に抑えるよう工夫したという。
 淀川製鋼所は修理に当たり施工方法を検討するため、大学の研究者を中心に兵庫県や地元・芦屋市など行政関係者も交えたワーキンググループ(WG)を設置。施工計画はすべて、このWGの意見に基づいて進められている。

復元工事が進む擬石飾り

 建物の特徴にもなっている外壁に施されたコンクリートの「擬石飾り」。大谷石の砕石と砂、セメントを混ぜてつくられたことはわかっているが、製作方法などは不明だった。そこで今回の工事では復元に当たり材料や配合を一から検討し直した。解体した擬石の成分を分析、材料や配合比率を変えたサンプルも作成して強度試験を実施。半年近い時間を費やし、ようやく復元の方針が固まったという。
 また外壁を修復する際は、通常ならボンドを使って浮きや割れを接着するところをあえてセメントを使って対応した。「建設当時の状態に、あくまでも忠実に」(樋口所長)つくるのがこの現場の流儀なのだ。
 工事の進捗率は、昨年12月末時点で約35%。3月ごろから最盛期を迎え、完了は今秋の予定だ。「ヨドコウ迎賓館の名物行事でもある雛人形展の季節までには再開させたい」と岩井館長はその日を待ちわびる。

■清酒『櫻正宗』で知られる灘の酒造家・8代目山邑太左衛門の別邸として1924年に完成した。F・L・ライトが基本設計を手掛けたもののライトが帰国したため、弟子の遠藤新と南信が実施設計に当たった。規模はRC造4階建て延べ542㎡。ライトが日本で手掛けた6つの建物のうち、建築当初の姿をほぼ残している数少ない建物とされ、74年に大正時代の建物として、またRC造建築として初めて国の重要文化財指定を受けた。2月から4月にかけて行われる恒例の「雛人形展」には、年間入場者(約1万6000人)の半分に当たる約8000人が訪れる。

【工事概要】
▽工事名=重要文化財旧山邑家住宅(淀川製鋼所迎賓館)近代化遺産等重点保存修理事業
▽発注者=淀川製鋼所
▽工事概要=屋根防水工、擬石復旧工、内外装補修工、建具工、電気工ほか
▽工期=2016年10月7日―18年11月30日
▽工事場所=兵庫県芦屋市山手町3―10
▽設計・監理=建築研究協会
▽施工=藤木工務店

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