メインとなる6㎞の本工事個所は、市街地の環境へ配慮した掘割の半地下構造で、スリットを設けた函体内を舗装する。通常、トンネル内の舗装ではアスファルトの下層はセメントコンクリートで構成されるが、同工事は将来的な維持補修を考慮し、下層からアスファルトで構成している。1日の使用量が1000tを超えるアスファルト合材は専用プラントのほか、同社の妙見島合材工場から供給される。
表層にはハイブリッド舗装の高機能舗装II型を導入。舗装表面は空隙を持たせて走行安全性を高くしつつ、底面部分は従来の密粒度アスコンのように水密性が高いという異種の機能を掛け合わせた混合物のため、アスファルト合材の敷き均らし作業には細心の注意を払う。山本所長は「この合材は配合的に他の合材と比べ、施工が難しい点で苦労しているが、そこに技術力が現れてくる」とし、今後も「気温の変化も踏まえて均一な合材となるように注意しなければならない」と気を引き締める。
また、施工時の品質確保の取り組みにも注力する。アスファルトフィニッシャーのホッパー部に電熱線によるヒーティングシステムを設置。合材の温度低下を最小限に抑えた敷き均しを実現している。通常、アスファルトフィニッシャーの端部から出る合材は温度が低くなるが、板東芳博技術本部技術部技術グループリーダーは「均一に敷き均せることを立証して採用した」と明かす。
同工事と並行して、半地下の東京外環自動車道の上に並走する国道298号を舗装する「東京外環自動車道市川中舗装工事」も進む。田口順一所長が担当する同工事には、入社2年目の柿沼千絵美さんが品質管理に汗を流す。柿沼さんは「試験器具は女性でも使いやすいように軽くてコンパクトなサイズにしてもらっている。女性専用のトイレもあり、働きやすいように配慮してもらい感謝している」と現場の作業環境を語る。
現場の沿線には人家が続いていることもあり周辺への環境配慮にも神経を注ぐ。函体内は騒音や排気ガスの影響を少しでも抑えるため昼夜にわたり車両の走行速度を10㎞に制限するなど、品質と安全の確保へ向けて万全の体制で完成を目指す。