修復事業主の1人であるミシェル・カンタル=デュパール氏のコメントによると、通常の水位に戻る見込みの5月上旬、潜水士による破損状況調査を行った上で、船内への浸水を防ぐため破損部の応急処置を実施。さらに船内に溜まった水をポンプで汲み出し浮上させる。ここまでが第1段階の目標とし、その費用に最低3万ユーロ(約400万円)、さらにコンクリート修理や窓の修理など沈む前の状態に戻すには15万ユーロ(約2000万円)を見込んでいるという。
不特定多数が利用する施設として必要な桟橋を昨秋に日本から寄贈。ギャラリー機能を備えた建築として一般公開への準備が進んでいた中での不測の事態に、遠藤氏は「建造から100年もった船が桟橋を架けようというその時になぜとがく然とした」と率直な思いを吐露。コンクリートの劣化により鉄筋が暴露していた個所もあったことから、長期間の浸水・沈下による影響を懸念し早期の手当が必要だと指摘しつつ、「沈んだ船がもう一度浮上することは劇的でもあり、受難からの復活を期待している」と語った。
報告会は日本建築設計学会が主催。3月に現地を訪れた建築家で明治大特任教授のマニュエル・タルディッツ氏も日本からの支援を呼び掛けるカンタル氏のメッセージなどを紹介した。