【国際文化会館】水没したル・コルビュジエ設計の難民収容船 復活プロジェクトへ助成が決定 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【国際文化会館】水没したル・コルビュジエ設計の難民収容船 復活プロジェクトへ助成が決定

 1929年に建築家のル・コルビュジエがリノベーションした船「アジール・フロッタン」(浮かぶ避難所)の復活プロジェクトの助成が決まり、その記念シンポジウムが東京・六本木の国際文化会館で開かれた。昨年2月にセーヌ川の増水で水没したアジール・フロッタン引き上げと修復工事が、国際文化会館の助成によって実現することになり、2021年2月の公開を予定している。シンポジウムでは経緯や意義などを3人の専門家が話し合った。
 主催はプロジェクトを実行する日本建築設計学会ル・コルビュジエの船再生委員会(遠藤秀平委員長)。コルビュジエ研究家で東京理科大客員教授の加藤道夫氏、建築史・建築評論家で東北大大学院教授の五十嵐太郎氏、建築家で委員長の遠藤氏が議論した。
 加藤氏は「当時コルビュジエの事務所にいた前川國男の設計という日本とのかかわりの深さとともに、1920年代最後のモダニズムの変わり目の象徴として、歴史的価値も見逃せない」と述べた。
 五十嵐氏は「多くの避難民を救ってきた船を今度はわれわれがレスキューする番。国際交流の場として復活させるのは意義のあること」と話し、水没前にキュレーターとして船内で企画していた展覧会をパリで関連イベントとして開くことを紹介した。
 遠藤氏はこれまでの経緯と今後のスケジュールなどに触れた。復活プロジェクトは、ことし9-12月に浮上工事、桟橋設置、窓工事、屋根防水工事、20年1-3月に躯体補強工事、4-9月内装復元工事を実施し、10月6日の仮オープンを目指す。順調に進めば21年2月にグランドオープンとなる。完成後は、コルビュジエ記念スペースとしての利用を船主と協議中だという。

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