立命館大学は、IoT(モノのインターネット)技術を活用し、需要が高まる建設現場の働き方を改革する「スマートウェアを活用した生産性・安全性向上と行動最適化研究」に取り組んでいる。現場で作業員の位置・生体情報を常時取得し、AI(人工知能)による機械学習で分析。行動の最適化と安全・安心、生産性能向上につなげる。29日には熊谷組の協力により大阪市内の現場で実証試験を行う。
開発したIoT計測システムは、データ蓄積や無線転送、各種センサーなどを搭載したスマートウェアを作業員が装着。位置や心拍、体表温度、加速度などを現場内に設置したアンテナが捕らえ、取得した生体情報・移動データをクラウドサーバーに送信して保存した上で、AIによる機械学習で行動最適化のための情報を求める。危険個所への接近をなくしたり、過去の作業動線の解析による翌期以降の作業レイアウト、動線の改善につなげることができるという。
例えば機械学習による心拍変動傾向を分析することで、作業効率や疲労度合い、環境と心拍変動との関係、体調異変と心拍、作業負荷とストレスなどを把握することができるという。
児玉氏は「実務経験は作業効率・体調(生体情報)、作業効率は体調とそれぞれ正の相関を示す。作業効率は作業時間の長さと負の相関関係にあり、振動による通知は現場の危険忌避として有効な手段になる」との仮説を示した。
また、ネットワーク解析を担当する小林和博東京理科大講師は、今回の実証試験を通じて「われわれの考えと現場の考えのギャップを埋めたい」と期待を寄せた。