【軍艦島】建物の自然倒壊メカニズムを把握へ 国際航業が日本最古のRC建物を測位衛星で変位計測 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【軍艦島】建物の自然倒壊メカニズムを把握へ 国際航業が日本最古のRC建物を測位衛星で変位計測

 国際航業は、建築研究所と長崎市端島(軍艦島)で築100年を超え、日本最古と言われる鉄筋コンクリート建物の経年劣化による変形を測位衛星で計測する共同研究プロジェクトを開始した。GNSS(全球測位衛星システム)を利用した同社の次世代衛星測位システム「SMILE safety」を活用し、建物が自然倒壊に至るメカニズムを把握する。こうした技術は大地震の振動を受けた建物の変形を計測する技術に応用可能と考えられ、大地震後の建物の診断技術の1つとして期待される。同社では建物の変形計測だけでなく、台風や集中豪雨、地震などが原因の土砂移動現象に対して、その地表面の変位をとらえる技術として土木や防災の分野で幅広く活用していく考えだ。
 今回の変位計測は、長崎市と東大地震研究所の協力を得て、世界遺産に登録されている同島内の30号棟屋上で実施する。観測点は屋上の8カ所とし、島中央部の地盤上2カ所を基準点とする。4月25日にセンサーなどの設置を完了。現在計測を継続中だ。計測の結果は各センサーの計測値グラフ、建物全体の水平変位のベクトル図、沈下量の図として表示。刻々と変化する建物変形の推移をインターネット経由でどこでも確認できる。
 今回採用した「SMILE safety」は、衛星を使った測位手法であるキネマティック(RTK)を用い、国際航業独自の解析手法を加えることで約2mmという微細な変位をとらえることができる。
 同社では今後、衛星測位の情報のみならず、測定対象の背景となる地形・地質・構造の情報、測定対象の変位の原因となる雨や地震動の情報を取り込み、ビッグデータ解析やAI(人工知能)などの技術を駆使した情報収集・配信システムに発展させていくことで、広く利用者の安心・安全に寄与できる情報発信基盤の構築を目指すとしている。

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