【軍艦島】遠隔地から危険を検知! 日本最古の高層RC造住宅「30号棟」に振動センサー、常時監視へ | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【軍艦島】遠隔地から危険を検知! 日本最古の高層RC造住宅「30号棟」に振動センサー、常時監視へ

 三井住友建設は、「明治日本の産業革命遺産」の1つとして世界文化遺産に登録されている長崎市の端島(通称・軍艦島)で、日本最古の高層RC造住宅「30号棟」に「ワイヤレス振動センサーによるヘルスモニタリングシステム」を設置し、実証運用を開始した。

センサーを設置した端島の鉄筋コンクリート造建築物(30号棟)

 長崎市と共同し、東大地震研究所の楠浩一教授の助言を受け実施した。補修による保存が困難と考えられ、保全の重要性が高まっている30号棟について、微細な揺れを遠隔地から常時監視することで、倒壊の危険性を検知する。
 システムは、微小な揺れを高感度な振動センサー(加速度計)で常時計測し、クラウドに随時アップロードする。そこで得られた特徴量(固有振動数や振動モードの統計値)を常時監視し、何らかの異常が生じた場合は瞬時に検出して、閾値(いきち)を超えた場合にアラートを発報する。採用しているセンサーは従来のものよりも高精度であるため、いままで計測ノイズに埋もれていたわずかな変化も検知可能だ。
 明治から昭和にかけて建設された軍艦島の建築物群は劣化が進行中で、構造物の劣化の兆候が計測から得られることが期待される。
 同システムの導入は、橋梁や建築物など、すべての構造物に適用可能なインフラ維持管理プラットフォームの構築に向けた取り組みの一環。今後、設置を完了した構造物から得られたデータを分析することで、損傷判定(倒壊判定)を行うなど、状態を把握、判定する合理的なシステムの確立に向け、一層の開発を進めていく。

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