トンネル空間でもICT活用、リアルタイムに3D出来形計測/フジタ・ジオサーフCS、国道17号(仮称)新三国トンネルで試行【4月21日 動画更新しました】 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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トンネル空間でもICT活用、リアルタイムに3D出来形計測/フジタ・ジオサーフCS、国道17号(仮称)新三国トンネルで試行【4月21日 動画更新しました】

 フジタとジオサーフCSは、GNSS(全球測位衛星システム)を利用できないトンネル空間でも、3次元(3D)データの可視化が可能な「重機搭載レーザー計測システム(TS版)」を開発し、新潟、群馬の県境で施工中の「新三国トンネル工事」で試行を開始した。
 同システムは、トンネル内で運用可能なマシンガイダンス、重機搭載レーザー計測システム(TS版)、自動追尾トータルステーション(自動追尾TS)で構成する。計測範囲を重機が旋回スキャンし、施工面の現状データを取得。それを3D設計データと重ね合わせ、差分を色分けしたヒートマップでオペレーターへ表示する。現在、トンネル底面のインバート工事に適用し、精度検証を進めている。
 トンネル工事では、GNSSを使えないことや狭あいな作業環境であることを理由に、日常の施工管理は専門員による測量が主流となっている。しかしこの測量作業は、重機と人が混在するため重機と⼈の接触事故防止に十分配慮する必要があり、施工効率の向上に限界があった。
 今回確立したシステムを活用すれば、オペレーター自らが作業中に、計測・出来形の良否を判定できるため、危険要因の排除と作業効率が改善され、出来形の実地検査も合理化できる。インバート掘削工(1サイクル)にかかる作業時間を従来の施工方法と比較すると、出来形測量や床付け測量が大幅に短縮されるため、20%程度の削減が見込まれている。
 両社は2018年度にも重機搭載レーザー計測システムを開発。こちらはGNSSを用いた位置出し方式で、明かりの現場で効果を検証した。19年度は、自動追尾TSによる位置出し方式に変更し、トンネル坑内の任意個所を移動しながら、リアルタイムに3次元の出来形計測をできるようにした。

 新たなシステムも前年度に引き続き、内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)を活用した、国土交通省の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に選定されている。
 (仮称)新三国トンネルの全長は約1280メートル、内空断面積は約59平方メートル。掘削延長は1257メートルで、17年8月に新潟県側から掘削を始め、19年8月に無事貫通した。新技術を試行しているインバート工の延長は約987メートル。