【現場最前線】夏休みに見学会開催! 東京五輪のキャンプ地・栃木県『総合スポーツゾーン』整備事業 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

公式ブログ

【現場最前線】夏休みに見学会開催! 東京五輪のキャンプ地・栃木県『総合スポーツゾーン』整備事業

 2022年の「いちご一会とちぎ国体」開催などに向けて、栃木県が進めている「総合スポーツゾーン」整備事業のうち、中核施設となる新スタジアムの建設工事は今後、ダイナミックな工程が目白押しとなる“見せ場”を迎える。同ゾーンのコンセプトは『県民に愛され、県民が誇れる、県民総スポーツの推進拠点』。県は建設時点から工事現場を体験し、事業への理解を深めてもらうことを目的に、定期的に開催していく県民向けの現場見学会をスタートさせた。第1回に同行、現場のいまを訪ねた。

5月26日撮影(栃木県提供)

 宇都宮市の県総合運動公園と、隣接する元競馬場や元運転免許試験場の跡地で進む一大プロジェクト。既存の硬式野球場や陸上競技場などを改修するほか、新体育館・屋内水泳場や新武道館などを建設する。
 このうち、見学会初回の舞台となった新スタジアムは、20年東京五輪のキャンプ地としても活用するため、17年4月から19年9月の工期で建設が進められている。

新スタジアム完成予想 (栃木県提供)

 設計・監理は、久米設計・AIS総合設計・本澤建築設計事務所JVが担当。施工は、建築を鹿島・増渕組・渡辺建設・那須土木・磯部建設・浜屋組JV、電気設備をユアテック・三信電工・大進電気工事・テクノ産業・中央電機通信・前田電設JV、給排水衛生設備を日神工業・田中工業・横山工業JV、空調設備を藤井産業・小牧工業・金箱工設JVが手掛け、多くの地元の企業や技能者が工事に参画している。

■一般向け現場見学会 巨大クレーンに歓声
 6月21日に開かれた第1回見学会には約90人が参加。午前・午後の部とも事前に定員に達し、県外からも訪れるなど関心の高さを伺わせた。栃木県県土整備部総合スポーツゾーン整備室の分田久貴室長は「工事はことし最盛期を迎える。この絶好の機会に、めったに見ることのできない工事現場を体験してもらいたい」と参加者に呼びかけた。
 続けて、鹿島JVの石井正樹所長は「先月から上部スタンドの工事を本格的にスタートさせた。大型の750tを含め、9台のクレーンを使っている。迫力ある現場の生の姿を近くで見ていただきたい」と県民を歓迎した。

9台のクレーンが林立する  スタジアム内側グラウンド部

 参加者は工事概要の説明を受けたあと、現場内を見学。ほぼでき上がった下部スタンドを抜け、巨大なクレーンが林立するグラウンド部に足を踏み入れた瞬間には、辺りに歓声とカメラのシャッター音が響いた。足回りが大人の背丈ほどもある750tクローラークレーンの前で記念撮影をする人も見られた。
 鹿島JVの藤森啓祐次長によると、工場製作したPCa(プレキャスト・コンクリート)部材をPC鋼線で圧着して構築する上部スタンドの『段梁』は、最も大きいもので重量が約230tにもなる。一方、巨大でありながら、地組みした段梁を柱に据え付ける際には、ミリ単位の精度の職人技が求められるという。

最大230tにもなる「段梁」

 新スタジアムの構造は、駆体がRC・SRC造、屋根が鉄骨架構の膜屋根。施設規模は4階建て延べ4万2168㎡で、約2万5000席を備える。長辺方向(南北)約250m、短辺方向(東西)約200m、全周約720mのだ円形状で、デザイン的には、丸みを帯びた『おわん型』スタンド、うねりのあるS造膜屋根が特徴だ。第1種公認の陸上競技場とJリーグ施設基準を満たしたサッカー場の多目的スタジアムとなる。

■建設業の魅力を子どもたちに発信

最新型の750tクレーン

 県は、なるべく多くの子どもたちに工事現場を見てもらおうと、当初予定より回数を増やし、夏休み期間中に計4回の見学会を企画。募集状況や申し込み方法などは県ホームページに掲載している。9月以降は基本的に、毎月第4木曜日に開催する見通し。分田室長は「子どもたちにダイナミックな仕事を見てもらい、建設業の魅力を伝えることにも貢献したい」と話している。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら