【随所に"栃木らしさ"を】栃木県「総合スポーツゾーン」東エリア整備運営事業が着々進行中 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【随所に“栃木らしさ”を】栃木県「総合スポーツゾーン」東エリア整備運営事業が着々進行中

 大成建設JVが施工を進める栃木県の総合スポーツゾーン東エリア整備運営事業が着々と進行中だ。現在の進捗率は約96%(9月末時点)。来年1月の竣工へ、いわば“着陸態勢”に入ったことで、コンセプトである『県民に愛され、県民が誇れる、県民総スポーツの推進拠点』がいよいよ全体完成へと近づく。随所に「栃木らしさ」が光る東エリアの現場を取材した。

メインアリーナ外観


 栃木県が宇都宮市に整備を進めている「総合スポーツゾーン」は、栃木県総合運動公園と隣接するかつての宇都宮競馬場や運転免許センター跡地で進む一大プロジェクト。2022年に開催が予定されている「いちご一会とちぎ国体」の会場にもなる。

 北エリアの新スタジアム、中央エリアの新武道館の建設工事、既存の硬式野球場・陸上競技場の改修工事は既に完了。全体計画の最終章として現在、着々と建設工事が進められているのが、PFI方式で整備される東エリアの新体育館(メインアリーナ・サブアリーナ)・屋内水泳場の建設プロジェクトだ。

 古くから地元に愛されてきた「大谷石」の石切場をイメージした重厚感のある外観が目を引くこの施設群は、日立キャピタルを代表企業とする特別目的会社「グリーナとちぎ」が整備・運営する。

 設計は梓設計・大成建設・安藤設計JVが担当。施工は大成建設・中村土建・渡辺建設JVとなっている。

 施設規模はS・RC造4階建て延べ3万8554㎡。観客席5040席のメインアリーナ(ラチス梁構造)、サブアリーナ(平面格子トラス構造)、飛び込み用プールを備えた屋内水泳場(ラチス併用張弦梁構造)のそれぞれが異なる構造形式(屋根架構)で、その大空間建築を実現した。

メインアリーナ内観
観客席5,040席を備える


 外観を構成する外壁パネルの製作に地元産の銘木である「日光杉」から型取った樹脂製の化粧型枠を活用。日光杉の木目を転写したような独特の風合いを持つ外壁パネルと、リブ部分(凹部)に大谷石を配置した重厚な外観はまさに「栃木らしさ」を醸し出す。

 屋内水泳場に備えられたシンボリックな飛び込み台は幾何学的なデザインが特徴。「現場打ちコンクリートで構築したが、特徴的なデザインを直感的にイメージするため、BIMを効果的に活用した。BIMモデルと3Dプリンターで製作した模型によって、立体的に把握しながら施工を進めた」(安部智章作業所長)という。

屋内水泳場飛び込み台


 18年4月の着工から約2年半が経過。ここまで“オンタイムスケジュール”の順調な進捗を見せてきた。

 「栃木県のスポーツ拠点となる施設の構築に携われていることに感謝している。地域に根ざした地元企業とタッグを組んで“オール栃木”で施工を進めてきた。作業員の多くも県内から来ている。まさに県民が一体となって取り組んできた施設だと感じている」(青木茂浩作業所長)。

 「県民の期待を背負う大規模なプロジェクトに大きなやりがいを感じている。(これから運用されていく中で)県民の皆さんに末永く愛される施設になってほしい」(安部智章作業所長)。

 竣工まで約4か月。青木茂浩作業所長が「飛行機の着陸で言えば、滑走路が見えて、誘導灯が光っている状況。無事に着陸することが重要。気を抜かずにやっていきたい」と話せば、安部智章作業所長も「ここまで事故なく安全作業で進めてきた。最後まで継続していきたい」と力を込める。

青木茂浩作業所長(右)と安部智章作業所長

◆ひと口メモ/工程管理に最大限の工夫
 全体の進捗に深刻な影響を与える可能性もある重要ポイントとなったのが、プールの公認申請に一定の期間を要する屋内水泳場だった。

 青木茂浩作業所長は「プールの公認申請に最長4カ月を要することから、屋内水泳場の建設工事(プール部分)を先行的に完了させる必要があった。4棟それぞれで建設に要する期間が異なる中で、屋内水泳場を基軸にそれぞれの進捗や工程のバランスをとって平準化を図りながら、施工を進めることができた」と胸を張る。

 安部智章作業所長も「公認申請の期間を踏まえると、9月末までに屋内水泳場の工事を間違いなく終えることが至上命題であった。そのための工程管理に力を入れてきたことで、予定どおりに工事を進めることができた」と話す。

屋内水泳場内観

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