【記者座談会】18年7月豪雨災害 地元建設業者が24時間体勢で応急復旧に | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【記者座談会】18年7月豪雨災害 地元建設業者が24時間体勢で応急復旧に

A 西日本を中心とした記録的な豪雨災害により、各地に甚大な被害が広がった。被災状況と応急復旧対応はどうなっているのか。
B 中国地方は、広島、岡山県を中心に大きな被害をもたらした。10日には国土技術政策総合研究所と土木研究所が派遣した土砂災害専門家(TEC-FORCE高度技術指導班)が広島入りし、ヘリによる土砂崩れの発生源調査を実施するとともに、2次災害防止のための助言を行った。土砂災害専門家の調査隊によると、土石流を河川の水が下流に運んでしまったことが被害を拡大させる要因になったそうだ。同じ日に広島県府中町を流れる榎川が氾濫(はんらん)し広い範囲で家屋や道路が泥水につかった。豪雨の影響で流れ出た土砂や流木が川をせき止めたことが原因らしいけど、2次災害に対する警戒が一層強まっている。

西日本を中心とした記録的な豪雨は、各地に甚大な被害をもたらした (広島市安芸区瀬野の状況)

C 四国では国土交通省四国地方整備局が、5日午前8時に災害対策本部を設置し、各種の対応に当たっている。9日には関東、中部、九州の3整備局とともに、愛媛、高知両県の被災市町にTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)を派遣した。愛媛県建設業協会は、発災当初から各支部が独自に支援活動を開始。7日には愛媛県から「大規模災害時における応急対策業務に関する協定」に基づく要請があり、今治、喜多、西予、宇和島地方、八幡浜の5支部が応急復旧に当たっている。
D 九州では大雨特別警報が出された福岡、佐賀、長崎の3県を中心に大きな被害が発生した。福岡県飯塚市では道路が陥没、佐賀県唐津市では松浦川水系徳須恵川の堤防が崩壊した。北九州高速道路4号では土砂が流入し道路をふさいだ。降雨時には福岡市の要請を受けた福岡市土木建設協力会が越水対策として土のう積みなどで対応した。応急復旧では災害協定を締結している地元建設業が中心となって24時間態勢で工事を進めた。各被災個所で、工事完了や開通見込みの発表が続き、次第に平時に戻りつつある。九州整備局は管理施設の復旧のほか、自治体や中国地方にTEC-FORCEを派遣するなど対応した。
E 関西圏では京都府と兵庫県の被害が目立った。京都府下では北部の福知山市や舞鶴市、宮津市などで浸水や法面崩壊といった被害が相次いだが、地元建設業が防災協定に基づいて緊急復旧に対応したと聞いている。兵庫県も同様に、建設業協会の地元支部が行政からの要請を受けて土砂の撤去や土のう設置などの作業に当たるなど、災害協定に基づく受発注者間の連携が円滑に進んだ印象を受ける。近畿整備局のTEC―FORCEも9日から京都府内と兵庫県内で被災調査活動を開始した。ただ、被災範囲が広いため追加派遣は避けられない見通しだ。6月に大阪北部地震が起きたばかりで、対応に苦慮しているようだ。
F 岐阜県内では7日から8日にかけて短時間に記録的な大雨が降り、住宅の浸水や道路の冠水など被害が広がった。これを受けて岐阜県建設業協会、岐阜土木工業会などは県や岐阜市と結んだ災害協定にもとづき、7日に対策本部を設置した。対策本部には緊急防災隊10人が常駐し、各地域支部と連絡をとり情報収集や応援要請などに対応している。このうち中部整備局木曽川上流河川事務所の依頼を受け、協会に所属する地元のあるゼネコンは、木曽川上流の河川の状況を把握するためにドローンを飛ばすなど、昼夜を問わず警戒に当たった。
A 災害が発生すると、地元建設業者が24時間態勢で懸命に復旧作業に当たる。こうした取り組みがいつか日の目を見ればと思う。

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