【Diploma×KYOTO】最優秀にOh Jongminさんら3人選出 閉塞感突破する作品求められる | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【Diploma×KYOTO】最優秀にOh Jongminさんら3人選出 閉塞感突破する作品求められる


中原比香莉さんの「下町再生計画」模型


 京都建築学生之会(坂野雅樹代表)は2月25日から27日にかけて、京都市左京区の京都市勧業館みやこめっせで、合同建築卒業設計展「Diploma×KYOTO’17」(特別協賛・総合資格など)を開催した。26回目の今回は関西の20大学から167人が参加した。
 審査員を変えて3日連続の講評会が開かれ、25日はOh Jongminさん(関西大)の「背景から」、26日は中原比香莉さん(同)の「下町再生計画」、27日は松原元さん(関西学院大)の「futu futu」がそれぞれ最優秀作品に輝いた。1-3位受賞者には主催者から表彰状、総合資格からトロフィーと副賞が贈られた。

最優秀の中原さん

 26日の講評会では、門内輝行大阪芸大教授が審査員長、ランドスケープデザイナーの宮城俊作奈良女子大大学院教授、ランドスケープデザイナーの忽那裕樹E-DESIGN代表、現代芸術家の名和晃平京都造形芸術大教授、クリエイティブディレクター・テクニカルディレクターの齋藤精一ライゾマティクス代表が審査員を務めた。2位と審査員長賞は小林章太さん(京大)の「七条小学校再編」、3位は川口昂史さん(大阪市大)の「澱の流れ」が選出された。
 出展作品全体に対し、門内教授は「作品のバリエーションは豊かだったのだが、ネット社会の弊害なのか、扱うテーマが似通っている印象。もう少し広い視野で問題意識を持って、壁を突破してほしかった。困難を乗り越える力は重要。小さくまとまらないでほしい」と呼び掛けた。また、宮城教授は「社会的仕組みの問題に対して解答するような良い提案が多かった」、忽那代表は「未来を変えるようなエネルギーがほしかった」、齋藤代表は「閉塞感のあるいまだからこそするべきことを考えてほしい」、名和教授は「芸術プロジェクトとしても成立するような作品もあった」と感想を述べた。
 最優秀賞に選ばれた中原さんの「下町再生計画」は、下町風情あふれる大阪市福島区の情緒を残しつつ、現代の都市化に順応した新しい下町を提案するプランだ。中原さんは「更新の方法を徹底的に考えたことが評価につながったと思う。まだリアリティーに欠けた部分があるので、今後の課題にしたい。4月から大学院に進むが、将来は組織事務所を経て自分の設計事務所を立ち上げたい」と喜びを語った。
 25日の講評会では北山恒法政大教授、西沢大良芝浦工大教授、建築家の五十嵐淳氏(五十嵐淳建築設計事務所)、藤村龍至東京芸大准教授、家成俊勝京都造形芸術大准教授が審査員を務めた。2位と審査員長賞には上西昂文さん(滋賀県立大)の「林業サイクルに呼応する街」、3位には澤地祐輔さん(阪大)の「思い出の在りかた」が選ばれた。
 27日は出展者・来場者による講評会を行った。2位には澤村優佳さん(滋賀県大)の「廃棄された空間での生きかた」、3位には角谷遊野さん(京大)の「動く建築」が選ばれた。
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