【新産業創出を実装する都市】進化続ける「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」(千葉県柏市) | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

公式ブログ

【新産業創出を実装する都市】進化続ける「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」(千葉県柏市)

柏の葉キャンパス駅周辺。市や企業、市民、東京大学、千葉大学らが連携して、まちづくりを進める

 千葉県柏市にある柏の葉キャンパスで進むまちづくり。その一環として始まり、いま注目される活動が、「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」だ。公・民・学の3者が連携して、新産業を創出しやすい環境づくりや、エネルギー問題、少子高齢化問題など、まちが抱えるさまざまな課題の解決に挑戦する。
 幹事企業であり事務局を務める三井不動産は、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅周辺エリアで、2005年から「柏の葉スマートシティ」として、まちづくり事業に注力してきた。環境共生、健康長寿、新産業創造の3つをテーマに掲げ、IoT(モノのインターネット)を活用して、公・民・学によるまちづくりの先駆けとなる事業に取り組んでいる。
 柏の葉とIoTのつながりは、14年のまちびらきにさかのぼる。ほかのまちとの最も大きな違いは、実験のためにつくられたフィールドではなく、IoTプロジェクトの支援や関係者間の調整、実証実験できる仕組みが、まちに内在している点にある。
 「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」設立の際、三宅弘人三井不動産柏の葉街づくり推進部ベンチャー共創事業部事業グループ長は「ここでわれわれがやりたいことは4つ。コミュニティーの醸成、最先端技術の提供、事業化と実証実験の支援、まちづくりを通じた社会課題の解決だ。時間の流れとともに、ハードは劣化するが、ソフトは蓄積して成熟・進化する。得られたIoTデータや最新情報をまちを通じて使ってほしい」と意気込みを述べた。
 まちづくりの中枢機関となるのが、06年に設立した柏の葉アーバンデザインセンター。ここを中心プラットフォームに位置付け、まちづくりビジョンを共有する。三井不動産は、課題解決の手段の1つとして、柏の葉IoTビジネス共創ラボを通じて、フィールドとネットワークを提供し、参加者のアイデアを応援する。
 柏の葉のまちづくりは、05年のつくばエクスプレス開通とともに始まった。柏の葉キャンパス駅周辺には高層マンションや商業・複合施設が整備され、14年に第1ステージが完了した。現在は駅北側の「イノベーションキャンパスゾーン」で第2ステージが進む。30年を目標に、スマートシティーのエリアを約300haまで拡大する計画で、19年春にはAI研究センターが新設されるなど、柏の葉は、これからも進化し続ける実験環境の場となる。