【省力化と安全両立】飛島建設「(仮称)ひたち野うしく駅直結プロジェクト新築工事」を訪ねる | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【省力化と安全両立】飛島建設「(仮称)ひたち野うしく駅直結プロジェクト新築工事」を訪ねる

 飛島建設が茨城県牛久市で設計施工を進める「(仮称)ひたち野うしく駅直結プロジェクト新築工事」。昨年2月の着工から1年4カ月。6月末までの進捗率は77%に達する見通しとなっている。この順調な進捗を支えているのが、ハーフプレキャスト工法の採用やICTツールの活用といった品質管理・安全管理に対する現場での創意工夫だ。現場を取材した。

 対象の(仮称)ひたち野うしく駅直結シニアプロジェクト新築工事(牛久市ひたち野東1-32-8ほか)の規模はRC造14階建て延べ1万8799㎡。JR常磐線・ひたち野うしく駅からペデストリアンデッキで直結する利便性に優れたシニア向け分譲マンションだ。

JRひたち野うしく駅からペデストリアンデッキで直結する利便性に優れたシニア向け分譲マンション


 施主であるサンヨーホームズは、2019年2月に東京電力エナジーパートナーと高齢者が健康に暮らしていくための新サービスを目的とする基本合意書を締結。第1弾として、このシニア向け分譲マンション「サンミットひたち野東ステーションフロント」の全戸に家電の使用状況から居住者の異常を検知するエネルギーセンサーを用いた見守りサービスを一括導入する。

 IoT(モノのインターネット)技術を用いた見守りサービスの導入によって、管理・運営スタッフの負担を軽減しながら、入居者の暮らしと安心を支える、まさに時代のニーズに沿ったシニア向けマンションとなる。

 設計施工を担う飛島建設の中矢孝久所長が「工程どおりにきている」と話すように現場は無事故・無災害で順調に進捗。契約工期は11月末だが、現場での本格的な施工は概ね8-9月に完了する予定だという。

中矢所長


 その順調な進捗を支えたのは、ハーフプレキャスト工法の採用や柱・梁の地組みといった省力化の取り組みだった。

 というのも、道路に面した敷地の南側と西側いっぱいに建物2棟をL型に配置する今回の現場は本来、北側にある道路に接していないが、空き地だった北側の土地を借り上げることで北側の道路から敷地までを貫く資機材の搬入経路を確保。将来的に駐車場となる北東側のエリアを施工ヤードとして効果的に活用することで“工事的なやりにくさ”を解消した。

隣地を借り上げることで北側道路からの搬入経路を確保


 実際に広々とした施工ヤードの確保によって、柱や梁を地上で構築してからタワークレーンでつり上げる「地組み」工法を適用。危険な作業を極力、地上で行うことで省力化と安全性を両立させた。

敷地の北東エリア(施工ヤード)を活用して「地組」工法を採用


 働き方改革への対応も重視。ことし1月から全社的な運用を開始したトランスコスモスのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)サービスの活用や、自社で開発した多機能サイネージシステム「e-Stand」を軸にしたICTツールの導入によって「職員の負担を減らすなど、より業務を効率化するための工夫も施している」(中矢所長)という。

働き方改革や業務の効率化を目的にICTツール(E-Stand)を活用


 新型コロナウイルスへの対応として現場でのマスクの着用を徹底。朝礼の簡素化(時間短縮)や広めの休憩室を確保することによる3密(密閉・密集・密接)の回避、検温の実施や手洗い・うがいの励行など、地道な対策にも取り組む。

 本格的な工事は残すところ2カ月余り。現場での施工はまさに佳境に入っていくことになる。

 熱中症対策など、これからの時期は暑さへの対応も求められることになるが、「あくまでも最大のテーマとして“危険ゼロ”を目指す。無事故・無災害で引き渡したい」(中矢所長)と力を込める。

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