【人の集まる場とは】伊東豊雄氏らがトークセッション 「みんなの家、その先へ」 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【人の集まる場とは】伊東豊雄氏らがトークセッション 「みんなの家、その先へ」

 DESIGNART TOKYO 2018とHOME FOR ALLは、東京都渋谷区にある国連大学で「みんなの家、その先へ2018」と題するトークセッションを開催した。伊東豊雄氏とともに東日本大震災以降、各県の被災地で復興支援に取り組む建築家とデザイナーが、その活動が仕事に与えた影響や災害に対して何が可能か、人の集まる場をつくるための条件などを語り合った。
 伊東氏は、「家や家族、友人を失った時に人は人とのつながりを求める」と強調。 毎年のように自然災害が起きる中、 現状の応急仮設住宅や災害公営住宅は、「均質化と人々の孤独化を高めるものであり続けている」とし、「このような状況下で建築家は、人と自然の関係と、人と人との関係を回復させる必要がある」と力を込めた。
 アストリッド・クライン氏(クライン・ダイサム・アーキテクツ)は、世代を超えてコミュニケーションを生み出す『みんなの家』を「自然と会話が生まれる。さまざまな場所、都心のマンションなどにも必要ではないか」と語った。
 貝島桃代氏は、「地域の資源をどのように開いて交流の場をつくるかが課題」とし、ハウスメーカーと組んで岩手県釜石市の災害公営住宅を設計した千葉学氏も「表層のデザインではなく、より本質的な人と人との関係を紡ぐことが大切だ」とした。
 妹島和世氏は、「子どもたちに誇れるまちを自分たちでつくりたい」という被災者との対話を経て、 出身地である茨城県日立市の新庁舎で提示した“みんなの広場” を「市民が思い出せる場をつくりたかった」と紹介した。
 伊東氏は、「建築家はハードを整備するだけでなく、そこで何をやるのかが求められる時代になっている」と、変容する建築家の役割を訴えた。

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