【建設業処遇改善シンポ】「労働協約」で建設業のあり方のルール化へ 建設首都圏共闘神奈川 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【建設業処遇改善シンポ】「労働協約」で建設業のあり方のルール化へ 建設首都圏共闘神奈川

 「建設労働者の処遇改善で若者が入職できる地域建設業の実現」に向けて、建設関係労働組合首都圏共闘会議神奈川ブロック(葛西浩徳議長)などは18日、担い手確保・処遇改善シンポジウムを開いた。約120人が参加。浅見和彦専修大教授の記念講演「地域建設業の未来を拓く労働協約・労働者供給事業」や行政職員らの報告、ディスカッションを実施し、「労働協約の実現」への議論を深めた。

約120人が参加し議論を深めた

 葛西議長は冒頭、「建設産業に若者を招くためのシンポジウムも3年目。前回、前々回は賃金を取り上げたが、今回は建設業者の労働協約をつくろうという具体的な提案をしたい」と趣旨を説明。これまでの賃上げを目指した活動と課題を振り返った上で、労働協約とキャリアアップシステムへの位置づけを解決策として示し、神奈川を皮切りに「全国的に議論を拡大し、国にぶつけていきたい。きょうは大いに労働協約の議論を深めたい」とあいさつした。
 記念講演で浅見教授は最初に、「建設業界の在り方を労働組合も含めてルール化」する活動を呼び掛けた。すべての先進資本主義国で建設産業の労働協約が締結されており、実現に向けたステップとして、パートナーシップ協約や技能評価協約、企業別の協約、現場協約、供給契約と労働協約の各段階を説明した。協約の効果には、賃金の最低基準確立、適正な価格と企業利潤の確保、品質と安全確保への貢献、重層下請けの改革促進、業界の共存・共栄システムづくりなどを挙げた。
 既にパートナーシップ協約は今月、神奈川で全国初の締結を実現した。地域ゼネコン4社と神奈川県建設労働組合連合会が個別に、建設技能者の処遇改善などで協約書を交わしている。
 シンポジウムでは、国土交通労組、供給事業労働者(労働者供給事業県内第1号の大工)、神奈川県連賃対部長の3人をパネリストに迎え、現状報告などの後、今後の展開を議論した。議論では、建設業法に代わる新たな法律の制定や、労働者供給事業を広げるための問題点(身なり、話し方など)、労働協約の締結に向けて先陣を切って型枠大工が初開催した職種別討論会の拡大などが話題にあがった。
 シンポジウムは、神奈川県建設労働組合連合会、国土交通省労働組合関東建設支部、同組合関東港湾空港支部、横浜市従業員労働組合、全日本建設交運一般労働組合神奈川県本部が共催した。

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