【若者が入職する建設業実現へ】神奈川建設労連ら「第4回担い手確保・処遇改善シンポジウム」 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【若者が入職する建設業実現へ】神奈川建設労連ら「第4回担い手確保・処遇改善シンポジウム」

 神奈川県建設労働組合連合会(仲野和則会長)、建設関係労働組合首都圏共闘会議神奈川ブロック(葛西浩徳議長)は8日、横浜市の建設プラザかながわで「第4回担い手確保・処遇改善シンポジウム」を開いた。土志田領司全国中小建設業協会長の記念講演や浅見和彦専修大教授・建設政策研究所理事長の基調講演、行政職員、経営者、労働者などによる報告、ディスカッションに参加者約150人が熱心に耳を傾けた。
 葛西議長は「2013年度から国土交通省が政策的に設計労務単価を引き上げてきたが、実際の支払いを調査するとほとんど上がっていない」と指摘した上で、今回のシンポジウムのテーマである「地域建設業の育成と技能労働者の処遇改善で若者が入職する建設業の実現を!」に触れ、「労働組合だけが要求するのではなく、地域建設業の皆さんとともに実現する課題であり、中小を含めたゼネコンの幅広い経営者団体と労働協約についても意見交換していかなければならない」とあいさつした。
 土志田会長は「地域建設業の発展のために必要なこと」と題して記念講演し、「7年連続で設計労務単価を引き上げてもらったが、実際は皆さんの手元に反映されていないのが実情であり、一緒に変えていかなければならない」との姿勢を示すとともに、設計労務単価の市場調査の仕方に触れ、「大規模な工事と1、2億円以下の小規模工事では、材料費なども含めて調査を分けるべき」と訴えた。
 また、「土木工事では、スコップが使えるだけでなく、左官もでき、型枠や鉄筋も組めるような多能工を現場で雇い入れている。多能工にお願いしないと中小の現場は成り立たない。国に土木の多能工をつくるようお願いしているが、建設キャリアアップシステムなどにも多能工のカテゴリーがない」と憂慮した。
 続いて、浅見教授が「担い手の確保のため建設業に労働協約を」と題した基調講演で、1次の専門工事業者、団体、経営者との対話と交渉で、技能評価協約(職種別の賃金協約)の締結を目指すことや、建設技能者の処遇改善、地域建設業の振興などを目的としたパートナーシップ協約を結ぶ元請企業を広げることの必要性を説いた。
 その後、国土交通労働組合関東港湾空港支部の澤田一洋氏、神奈川土建一般労働組合の井上真一氏、神奈川県建設労働組合連合会の荒井俊喜氏、全国建設労働組合総連合の長谷部康幸氏が登壇し、浅見教授のコーディネートの下、現状を報告するとともに、今後の展望を議論した。

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