【記者座談会】約4年ぶりに国交相交代/台風15号被害 | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【記者座談会】約4年ぶりに国交相交代/台風15号被害

A 第4次安倍再改造内閣が11日に発足した。17人の閣僚が新たに就任し、国土交通相も約4年ぶりに交代となったが印象はどうかな。
B 新国交相には、公明党政調会長代理の赤羽一嘉氏が就任した。建設、運輸など旧4省庁時代も含めて歴代最長の1435日にわたって在任した石井啓一前国交相からバトンを引き継いだ。現与党への政権交代以降では、3代連続で公明党ポストとなっている。
C 3代でみると、太田昭宏氏、石井氏ともに工学部の出身だが、赤羽新国交相は法学部卒業後、商社勤務を経て政治家となった。人柄について省内では「まじめ」と評する声が多く、自身でも「あるのは汗と体力と少し人より執念深い所だ」と発言しており、実直な印象を受けた。
B 政策スタンスは、前任である両大臣の路線を継承することを言及している。就任会見では、給料・休暇・希望の「新・3K」に触れ、担い手確保のための処遇改善に取り組む意思を示した。財務副大臣や経済産業副大臣などの経験もあり、今後どのような“赤羽カラー”を出していくのかが注目される。
A 内閣改造の前後から入閣に注目が集まっていた小泉進次郎衆院議員は、環境相に起用されたね。
D 小泉環境相は就任会見で国内の環境問題の位置付けの低さを問題視し、環境省が主導して社会の意識変革を進めるという決意を語った。
E 環境省幹部の1人は「職員の士気が上がった」と話すなど、総じて好意的に受け止められている。育児休暇の取得なども含め、さまざまな切り口から注目を集めそうだ。

台風15号の威力を物語るように横倒しになったトラック(9日、千葉市中央区)

送電鉄塔 設計基準強化の見通し

A 話は変わるけど、台風15号による影響は深刻だ。11日に千葉県市原市内を車で走ったが、停電の影響で信号が消えていたり、停電していない地域にあるショッピングセンターには人々が押し寄せ、駐車場もフードコートもいっぱいだった。千葉市内でも東日本大震災を思い出してしまった。
B 関東地方整備局の災害対策本部は、8日午前に「風水害対策本部」を設置。千葉県内に支援物資を輸送し、リエゾン(情報連絡員)などを派遣した。19日には、道路の倒木除去など停電の早期復旧を支援するため、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)を派遣している。
C 千葉県の建設業協会はもちろん、関東各県や東北地方の建設業団体も救援物資を送ったり、会員企業の技術者派遣なども含めてさまざまな支援を展開している。
D 今回、送電線の鉄塔が倒壊したり、電線周辺の倒木によって停電が起こった。このため今後、鉄塔の設計基準は強化される見通しだ。ただ、樹木に関しては強度を人為的に変更できるわけではない。電線周辺の樹木を伐採するのが根本的な対策だが、個人所有の山林もあるため、一筋縄ではいかない場面もありそうだ。
B 建物に目を向けると、戸建て住宅ではガラスが割れたり、屋根が飛んだりする被害が相次いだ。リゾートホテルなどの大型建築物でもガラスが割れるなどの被害が出ている。いまのところ、大型建築に関しては構造・躯体の設計基準の大幅な見直しに至る可能性は低そうだ。しかし、建築物の外装や敷地外構なども含め、設計段階で一定の配慮が求められることになるだろう。
C 東京都内でもゲリラ豪雨被害を受けて、雨水排水管などの基準が見直された。
A 現在、対症療法が基本だ。難しいかもしれないが、気候の変動を先回りする形で、各種の基準類を見直すなどの予防療法はできないものか。実現に向けては、産学官の連携が欠かせない。

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