【「てこの原理」を応用】飛島建設JVが高槻市役所本館耐震改修で「トグル制振構法」を採用  | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

公式ブログ

【「てこの原理」を応用】飛島建設JVが高槻市役所本館耐震改修で「トグル制振構法」を採用 

 飛島建設・住光建設・山下設計JVによる高槻市役所本館耐震改修事業が大阪府高槻市で進んでいる。1970年に竣工し老朽化している市役所本館および議場を耐震化するもので、設計・施工一括(DB)方式で発注された。市役所の業務を通常どおり行いながらの工事となり、さまざまな制約条件がある中、創意工夫で施工に取り組んでいる。発注者は高槻市で、工事監理も同市が担当。
 市役所本館の規模は、SRC造地下2階地上7階建て塔屋2層延べ1万9409㎡で、建設地は大阪府高槻市桃園町。敷地面積は1万7703㎡。工期は2019年12月27日まで。17年10月から工事に着手した。
 耐震改修工事では、飛島建設の制震技術である「トグル制震構法」を採用した。同構法では、2本のトグル腕と1本のオイルダンパーで構成する増幅機構付きの油圧制振ブレースを設置。てこの原理を応用することで、地震エネルギーを効率よく吸収することができる。
 工事概要は、制振装置202基(101構面)と鉄骨ブレース4基、RC耐震壁の増打・新設31面、垂直完全スリット337m、水平完全スリット411m。このほか柱のSR-CF補強94カ所、SRF補強9カ所を施工、トイレのリニューアルやアスベスト撤去工事も行う。10月31日時点の工事進捗率は33.9%となっている。

制振ブレース202基を設置

1階は柱部分も増強

 現場の作業は、市役所の業務を続けながらの作業となる。騒音、振動、粉じんを伴う作業は土日・祝日の閉庁日か平日閉庁後の夜間作業としたほか、外部のはつり作業は、土曜の午前8時-午後6時に限定して実施している。
 高槻市役所耐震作業所の赤松旭所長(飛島建設)は「土日の作業を効率良くするために、平日の作業でどれだけ準備できるかが施工する上で重要になっている」と話す。5つのエリアを46工区に分け、工程管理を行っている。高槻市と毎週、打ち合わせを行い、その週の作業を細部まで確認し、連携しながら工事を進めている。
 現場は6月の大阪北部地震時には約1カ月の間、作業がストップした。来年の2月以降に制振ブレースの本格的な設置作業に入る予定だ。安全に最大限留意しながら作業を続けていく。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら