【摩擦力で揺れを抑える】大林組の「ブレーキーダンパー」が大臣認定取得 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【摩擦力で揺れを抑える】大林組の「ブレーキーダンパー」が大臣認定取得

 大林組は、超高層建築物を中心に採用されているブレーキダンパーについて、摩擦接合部の大臣認定と一般評定を取得し、中低層建築物への適用を容易にした。設計期間の短縮とコスト低減を実現できる。高さ60m以下の事務所、集合住宅、病院、商業施設などを対象に積極的に提案する。
 ブレーキダンパーは、自動車のブレーキを応用して摩擦力で地震時の建物の揺れを抑える。地震後も損傷しないため交換が不要で、同等性能のオイルダンパーより安価に設置できる。主に高さ60mを超える超高層建築物で70件以上の採用実績がある。ただ、近年の大規模地震の発生を受け、60m以下の中低層建築物への適用を求める声も高まっている。

摩擦力で地震時の建物の揺れを抑える

 ブレーキダンパーを含む制震ダンパーの多くは強度や変形性能について定めた基準はないものの、超高層建築物の構造設計においては建築確認申請前に個別建物の構造安全性能の評価を得るための時刻歴応答解析などの設計が必要で、その際に建物に設置されている制震ダンパーの効果を個別に反映した最適化が可能だ。一方、中低層建築物で制震ダンパーを適用する場合、建築確認申請に必要な設計手法以外に、追加で超高層建物の設計と同様の高度な設計手法が必要になるため、設計期間の長期化とコストの増加につながる。
 今回、ブレーキダンパーを構成する摩擦接合部について、構造試験を実施し、性能が妥当であることが認められ、強度や変形性能について建築基準法に基づく国土交通大臣認定を取得した。日本建築センターからも、大臣認定を利用した部材(ブレース、間柱)としての一般評定を取得。これにより、建築確認申請による手続きだけで制震構造を実現できるため、設計期間を3カ月以上短縮できる。
 建築確認申請に必要な設計手法だけでブレーキダンパーを中低層建築物に適用することも可能だが、構造部材としてブレーキダンパーの効果を反映できないため、柱・梁の鉄骨を必要以上に大きくする必要があった。大臣認定を取得したことで、ブレーキダンパーが構造部材として認められ、従来と比較して躯体鉄骨コストを10-20%程度低減できる。

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