大林組は、免震装置を取り付ける基礎コンクリートの試験施工で実施するコンクリートの空隙判定で、写真画像からAI(人工知能)が充てん率を自動計測するシステムを開発した。空隙の見落としの少なさを示す再現率は約95%で、試験体1体当たり80枚の写真を検査する場合、1人で約5日から1週間以上かかっていた作業が約2-3日に短縮できる。
開発したシステムでは、ディープラーニング(深層学習)でさまざまな空隙の特徴を学習し、指定した寸法以上の空隙を自動で検出して着色する。自動検出の範囲から除外したい場合は、事前にその部分を指定すればより高い精度での検出が可能になる。従来の判定結果とシステムでの判定を比較すると、空隙判定個所の間違いの少なさを示す精度が約84%、再現率が約95%となった。さらに、写真の台形補正や切り出しなどの画像処理と検出した空隙の合計面積算出も画像解析技術で自動化し、空隙の最長径や面積なども数値で表示できる。
現在、さまざまな現場で合否判定作業時の写真サンプルを採取し、空隙検出精度の向上を進めている。免震基礎部での検査以外にも同種の目視検査に応用が可能で、AIの適用範囲をさらに拡大し、技術者の能力差によるバラツキや人的要因による見落としなどの改善につなげる。