【インドネシア・スラウェシ島地震・津波災害】被災地の復興に日本の技術力を生かす! | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【インドネシア・スラウェシ島地震・津波災害】被災地の復興に日本の技術力を生かす!

 昨年9月にインドネシア・スラウェシ島で発生した地震・津波災害。5日から6日にかけて、死者・行方不明者が約3500人にも及ぶ大規模災害の被災地を調査した、自民党の足立敏之参院議員は、「液状化を起因とする大規模な地盤の流動が生じている現地の状況に驚愕した」と振り返りながら、「今後の復旧・復興に日本が持つ技術力を生かしていくべきだ」と力を込める。

左から多田氏、足立議員、早川氏

 最初に向かったスラウェシ島・パル市のペトボ地区は、勾配が1%程度と非常に平坦な土地であるにもかかわらず、幅1.0㎞、長さ2.5㎞の範囲で液状化による大規模な地盤の流動が発生。1000戸を超す家屋が流されて破壊される、あるいは流動化した土砂に飲み込まれるといった状況にあったという。
 「日本で液状化現象が認識され始めたのは、1964年の新潟地震ということになるが、千葉県浦安市など首都圏でも大規模な被害が生じた東日本大震災を踏まえたとしても、あれだけの大規模な地盤の流動はおそらくわが国でも経験していないのではないか」と話す。
 実際に「現地で目の当たりにした被害の状況から察するに、今回の液状化に伴う地盤の流動は、世界的にも極めて珍しい現象と考えられる」と指摘。技術者としての自らの経験から言っても「日本で同様の事象が発生するとは考えにくいが、それでも日本で同様の現象や被害が起こらないという保証はない」とも。
 特にペトポ地区と同様に液状化による大規模な地盤の流動だけでなく、被圧地下水の流出が原因と考えられる洪水の発生が被害を拡大させたジョノオゲ地区の調査から「日本にも被圧地下水が高いポイントはある。備えという意味でスラウェシ島の被害から学ぶべきことは多い」と説く。
 とはいえ「現地は仮設住宅の整備が始まったばかり」というように被災地の復旧・復興はこれからという状況だ。
 コーディネーター役として、現地調査に協力した国家防災庁の多田直人氏と公共事業・国民住宅省の早川潤氏は出向先であるJICA(国際協力機構)を通じて、現地政府に派遣されている国土交通省の技術職員。「2人の日本の技術者が被災メカニズムの分析や復旧・復興計画の策定など、現地の取り組みをリードしている」「多くの自然災害から復旧・復興を成し遂げることで蓄積されてきた日本の経験やノウハウは、技術力に乏しい被災地の復旧・復興を確実に支えている」と話す。

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