【記者座談会】ビッグイベントめじろ押し/建築設計・監理業務の新報酬基準 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【記者座談会】ビッグイベントめじろ押し/建築設計・監理業務の新報酬基準

A 平成最後の1月も、あと1週間で終わる。ことしは統一地方選挙、5月の改元、参院選、消費増税とビッグイベントがめじろ押しだ。4月には改正出入国管理法(入管法)と改正労働基準法の施行、建設キャリアアップシステムの本運用も控える。建設産業界の将来を占う大きな転換期になりそうだ。
B 改正入管法で創設された新たな在留資格である「特定技能」に基づく人材受け入れに当たっては、元請団体と受け入れ対象職種となる専門工事業団体で構成する新たな団体が年度内に設立される見通しだ。適正で円滑な受け入れの実現に向けたルールの策定や、業界団体間、海外の現地機関と調整、外国人の応募・試験・選考、受け入れ企業に対する人材紹介などを一体的に担う。既に各団体と国土交通省との間で具体的な検討が進んでいる。改正法施行までに残された時間は多くない中で、ある団体からは「動きが速すぎてついていくのがやっと」という声も上がる。今後どこまで詳細を詰め切れるかが課題になる。
C 改正労働基準法の施行により、建設業への罰則付き時間外労働時間の上限規制の全面適用に向けたカウントダウンが始まる。建設業への適用は5年の猶予後となるが、4月からは資本金などが一定規模以上の測量、地質調査、建設コンサルタント、建築設計などで適用がスタートし、働き方改革の実現に向けた長時間労働是正の動きが加速することになる。
A 賀詞交換会のあいさつでもとりわけ高頻度で使われた、建設キャリアアップシステムについてはどうだろう。
D 1月からモデル現場での限定運用が始まり、円滑にシステムが利用できる環境の構築に向けた検証が進められている。これまでシステム障害などによって延期を余儀なくされてきたが、システムの効果に期待を寄せる業界団体も多い。本運用に向けて万全を期してもらいたいね。

建設キャリアアップシステムは賀詞交換会のあいさつにも高頻度で話され、行政、関係団体とも効果に期待を寄せている。写真は7日に都内で開かれた建設業関係11団体の新春賀詞交歓会

◆中小事務所から経営危機の指摘も

A 話は変わるけど、建築設計・監理業務の新たな報酬基準となる「平成31年国土交通省告示98号」が21日に公布・施行された。国交省はこれを反映した『官庁施設の設計業務等積算要領』を改定し、2月1日から適用する。
E これまでの告示15号が10年ぶりに改定された。この間、設計・監理業務の多様化・複雑化、施主からの要求水準の高まりを受けて業務環境が大きく変化した。設計3会からの見直し要望を受けて中央建築審査会の了承を得て改正が進んだ。
F 概算表の刷新、難易度にかかる観点の充実、標準業務に付随する追加的な業務が明確にされた。また、新たに制定した業務報酬基準を補足する技術的助言と、標準外業務の詳細リストなどを掲載したガイドラインも発表された。改正内容を周知する説明会が2月12日から全国9カ所で開催される。
A 業界の反応はどうかな。
E 大手事務所の経営者は歓迎している。一方、中小規模事務所の中には、規模によって標準業務量が従来を下回り、技術料等経費なども引き下げられたため、「適切に運用されなければ経営の危機につながる」と指摘する意見もある。
F 今回の改定の基礎となった実態調査のより詳細な分析や、より創造的な思考が求められる基本設計と実施設計の報酬割合が3対7にとどまったことを受けて、設計団体の中には「われわれの要望が今回ですべてかなったわけではない」と、次を見据える人もいる。
A 計算式が複雑になる上に、旧告示の浸透にも時間がかかった。どこまで周知・徹底されているのか検証と改善を重ねていくことが必要だね。

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