【記者座談会】建設技能人材機構が設立/調査基準価格見直し | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】建設技能人材機構が設立/調査基準価格見直し

A 1日から改正出入国管理法が施行された。新たな在留資格「特定技能」の創設に伴い、建設分野における特定技能外国人の受入事業を一体的に担うことになる新法人「建設技能人材機構」が設立された。この新法人の果たす役割は。
B 昨年12月に決定した分野別運用方針に沿って、建設産業が適正で円滑に特定技能外国人を受け入れるためのプラットフォームとしての役割を担う。建設分野における共同ルール(建設業界共通行動規範)の策定や、技能評価試験の実施に対する業界団体の調整、外国人の応募・試験・選考など特定技能外国人の入国前後のサポートを一体的に行う。
C 1日の設立総会で才賀清二郎理事長(建設産業専門団体連合会会長)は「外国人の適正かつ円滑な受け入れの実現に、それぞれの団体が相互に協力して受入事業を実施していく必要がある。国内人材も外国人材も両方(の処遇)が良くなるということが重要」と力を込めた。
B 設立総会後に開いた祝賀会に出席した石井啓一国土交通相も、特定技能外国人の受け入れについて、「(懸念の声も多い)外国人の失踪や不法就労の防止などに、その中心となって活動していただけるものと期待している。業界自身が共同で透明性の高い受け入れを行っていくというモデルは他の産業分野の模範となるものと確信している」と祝辞を寄せた。
C 建設技能人材機構は、特定技能外国人を直接的に雇用する専門工事業だけでなく、日本建設業連合会などの元請団体も参画するオール建設業の組織。産業全体ひいては日本国内の危機的な労働力不足に対応するための手段としての特定技能外国人の受け入れに、建設産業が一丸となって取り組んでいくことになる。

1日に開催された建設技能人材機構設立記念祝賀会であいさつする石井国交相

設定範囲の幅「75-92%」に引き上げ

A ところで国交省が3月26日に発表した低入札価格調査基準(調査基準価格)の見直しも大きなトピックスだった。予定価格の70-90%となっていた設定範囲の幅を変えるのは、85%から従来の90%に設定範囲の上限値を引き上げた2009年4月の見直し以来、10年ぶりとなる。
D 実は数年前から設定範囲の上限値を引き上げるため、国交省として財務省に対するアクションは行っていた。群馬県建設業協会の青柳剛会長を始めとする業界関係者や、職域代表である佐藤信秋参院議員も低入札価格調査基準の引き上げの必要性を強く訴えていただけに、そうしたこれまでの努力の積み重ねが結実したと言えるのではないか。
A 見直しのポイントは。
E 設定範囲の幅を「75-92%」に引き上げたことに尽きる。「直接工事費×0.97」「共通仮設費×0.90」「現場管理費×0.90」「一般管理費等×0.55」の合計額に1.08を乗じる調査基準価格の算定式は変えていない。17年4月の直接工事費の引き上げ(0.95から0.97に変更)など、経年的に算入率の引き上げを行ってきた結果として、この算定式で導き出す調査基準価格は、設定範囲の上限値である予定価格の90%を超えるケースも相当数あった。
D これまでは算出した数値が予定価格の92%に達している場合でも、上限値である90%に調査基準価格を設定するしかなかったが、設定範囲の上限値を92%に引き上げたことで、従来の設定範囲による“上限拘束”を突破することができるというわけだ。
E その点で言えば、下限値が70%から75%に引き上げられる点も大きい。下限値が引き上げられることで地方自治体のダンピング対策の進展も期待される。

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