【記者座談会】25年大阪万博決定/外国人労働者受け入れ拡大 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

公式ブログ

【記者座談会】25年大阪万博決定/外国人労働者受け入れ拡大

A 2025年万博の開催地が大阪市に決まったね。関西は大盛り上がりだと思うが、建設業界の反応はどうかな。
B これでIR(統合型リゾート)など関連する大型開発にも弾みがつき、日本全体にとっても東京五輪後の建設需要が下支えされることになる。経済波及効果は2兆円とも言われている。
C 今後は会場となる夢洲の造成工事が急ピッチで進められるほか、大阪メトロの中央線延伸といった関連交通アクセスの整備も行われる。同じく夢洲に計画されているIRの誘致も実現すれば、JRや京阪電鉄の延伸なども現実味を帯びてくる。建築や土木、業種を問わず業界全体に恩恵が広がると期待されるだけに、一様に歓迎ムードとなっている。
B 大阪では1970年にも万博が開催され、これを契機に関西の経済界・産業界が大きく発展したという良いイメージが残っている人も多い。
D 70年万博では湯川秀樹、井深大、武者小路実篤、丹下健三といった日本を代表する知識人らが構想立案に携わる一方、若手の建築家が多く登用され、バラエティーに富んだ建築が生み出された。今回も若手が大いに活躍する場となってもらいたいね。
A 一方で、建設需要が増大することで業界の人手不足が加速することを懸念する声もある。
D 確かにそういった声も聞かれるが、70年万博でも人手不足に直面しながらさまざまな手法を取り入れ、工期の遅れなく完成させている。『必要は発明の母』の言葉どおり、25年万博も建設業界でAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの活用が本格化することで生産性向上が一気に進む契機になるのではないかな。
C いずれにしても業界全体が一致団結して素晴らしい万博を実現させ、次の世代にもつなげてもらいたいね。

万博の開催予定地となる大阪市西部の人工島・夢洲(ゆめしま)。2025年5月3日に開幕、185日間の会期中、2,800万人の来場者数を想定している

処遇改善への影響、不法残留を不安視

A ところで臨時国会で外国人労働者の受け入れ拡大をめぐる論戦が続いているけど、建設関係団体の反応は。
E 新たな在留資格「特定技能」の創設をめぐっては各団体ともしっかりとした制度構築などの条件付きで、おおむね政府の方針に同調している。とはいえ、軌道に乗りつつある技能労働者の処遇改善への影響や不法残留への不安は払しょくしきれていない。
F 日本建設業連合会の山内隆司会長は26日の理事会後会見で、外国人労働者の受け入れ拡大について、「日本に来てくれるような制度にしないと定着しない」と、既に先行している韓国などの近隣国より魅力のある制度の構築が必要との認識を示した。入り口段階でしっかりしたコントロールなど不法就労者対策の必要性も改めて強調していた。
E 全国建設業協会も、外国人労働者の受け入れについて基本的スタンスをまとめている。「建設業界の処遇改善に向けた努力に逆行しないものであれば一概に反対すべきものではないと考える」とし、日本人と同等以上の報酬の確認や安全衛生、雇用管理に対する制度的な担保を求めている。
F 急速に経済成長しているアジア諸国と日本との賃金水準格差は年々縮まっているというデータもある。受け入れたものの、将来的に賃金差がほぼなくなれば、外国人労働者が日本をスルーする可能性もある。労働者を呼び込むためには金銭面だけでなく、働きやすい環境の整備も必要になる。
A 日本人労働者の処遇改善に水を差さない仕組みとともに、外国人労働者にとって魅力ある環境の整備が受け入れ拡大の成否を握っているということだね。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら