【記者座談会】大阪・関西万博で起工式/橋梁技術のデータ連携 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】大阪・関西万博で起工式/橋梁技術のデータ連携

◆会場建設が本格化“2024年問題”対応に課題も

A 2025年大阪・関西万博の開幕までちょうど2年となった13日、メイン会場となる大阪市の夢洲で起工式が開かれた。いよいよ建設工事が本格始動する。

B 大阪・関西万博は、25年4月13日から10月13日まで184日間(6カ月)にわたって開かれる。「いのち輝く未来社会のデザイン」をコンセプトに、「未来社会の実験場」として世界の課題を共有する国を挙げた一大イベントとなる。課題解決に向けた先端技術を集結し、新たなアイデアを創造・発信する。日本の魅力や先端技術を世界にアピールする絶好のチャンスとなる。

C 今後、公式参加国や民間パビリオン出展者に対して敷地の引き渡しを進めるのにあわせて、会場の建設工事が本格化する。

B 14日には、その夢洲にカジノやMICE(国際的な会議・展示会など)、ホテルなど総延べ約77万㎡の施設を整備する大阪府と大阪市のIR(統合型リゾート)区域整備計画が認定された。大阪・関西が盛り上がりを見せているね。

C 一気に機運が高まってきたが、忘れてはならない課題もある。資材価格の高騰などを背景に大催事場やテーマ館などのパビリオン建設工事で入札不調が相次いでいる。

A 3月30日に入札公告した大催事場は再々公告、テーマ館「いのちを守る」は再公告となっている。

C 今後、建設工事が本格化する中で、建設産業における“2024年問題”への対応も避けて通れない。時間外労働の上限規制への対応を考えれば、突貫工事なんかはできない。施設整備を担うゼネコンにも相応の工夫と対応が迫られることになるだろう。

2025年大阪・関西万博の起工式。建設工事が本格始動する

設計と製作・施工の連動に期待

A ところで、18日に建設コンサルタンツ協会(野崎秀則会長)と日本橋梁建設協会(高田和彦会長)が、橋梁技術のデータ連携実装に向けた共同宣言に署名した。取り組みの狙いはどんなところにあるのかな。

D 国土交通省が今年度からBIM/CIMの原則適用に乗り出したことを受けて、鋼橋における設計段階と施工段階のデータ連携をより加速させる。設計段階から施工段階への情報伝達(情報の引き継ぎ)の効率化によって建設生産・管理システム全体の生産性を高める狙いがあるようだ。

A 具体的には。

D これまで建設コンサルタンツ協会が利用している「自動設計システム」と、日本橋梁建設協会が利用する「生産情報システム」のデータは直接的に連携していなかった。この二つのシステムをつなぐ共通データフォーマットの「設計情報属性ファイル」を開発することで、設計から製作・施工まで合理的にBIM/CIMデータを活用できる環境を整備する。

B 建築でもBIMに代表されるデジタル技術を駆使して設計と生産を連動させる動きがある。例えば、BIMを使って作成した設計データを協力会社と共有すれば、それをベースに鉄骨の加工や製作をスムーズに行えるようになる。

C 生産性の向上が求められる中で、設計段階でのBIM/CIMデータを活用した自動加工・自動生産が実現すれば、いわゆるデジタルファブリケーションの世界が広がっていく。

D 建設業でデジタル化の推進が叫ばれるようになって久しい。今回の鋼橋におけるデータ連携は、建設生産・管理システムのデジタル化を先導する事例としても、大きな注目を集めることになるね。

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